Apple、Siri集団訴訟の和解金申請を受付開始 最大95ドル

「よりパーソナライズされたSiri」の提供が遅れたことを理由にAppleを訴えた米国の集団訴訟で、和解金の請求受付が9月21日から始まった。和解サイトsmartphoneaisettlement.comは20日に公開されており、対象となるユーザーは端末のシリアル番号などの情報を入力し、12月21日までに申請を提出できる。

和解総額は2.5億ドルで、Appleは今年5月にこの金額の支払いに合意していた。和解の枠組みでは、対象となるiPhone1台につき25ドル程度が見込まれ、実際の金額は有効な申請件数によって変動し、上限は95ドルとされている。Appleは訴訟内の主張をすべて否定しており、裁判にかかる費用とリスクを避けるために和解に合意したとしている。

誰が申請できるのか

対象は米国に限られる。2024年6月10日から2025年3月29日までの間に米国内で次の機種を購入したユーザーが対象だ。iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、そしてiPhone 16、16e、16 Plus、16 Pro、16 Pro Maxが含まれる。

このリストは、Appleが当時Apple Intelligenceに対応するとしていたiPhoneのほぼ全機種にあたる。起点となる日付にも意味があり、2024年6月10日はWWDC 2024の開幕日で、Appleが新しいSiriを初めて公にデモした日だ。米国外で購入した端末は今回の和解の対象に含まれない。

訴訟の中身

原告側の中心的な主張は誇大広告だ。訴状によれば、Appleはテレビやオンラインで大量の広告を展開し、新しいiPhoneを購入すればすぐにアップグレードされたSiriと完全なApple Intelligenceが使えるかのように消費者に思わせたが、実際にはこれらの機能は当時存在していなかったという。訴状は、Appleがapple Intelligenceの機能範囲を誇張したことに加え、先進的なAI機能が実際よりも早く手に入るとユーザーに誤解させたと指摘している。

AppleがWWDC 2024でデモしたパーソナライズされたSiriは、個人のコンテキストを踏まえて質問に答えたり、画面上の内容を理解したり、アプリをまたいでユーザーに代わって操作を実行したりできるとされていた。その後のiPhone 16シリーズのマーケティングは「Apple Intelligenceのために作られた」という打ち出し方が中心だった。2025年3月、Appleはこの機能の提供が予想より長引くと発表し、これを受けて訴訟が相次いだ。

2年半に及ぶ経緯

主な節目を並べると次のようになる。

  • 2024年6月:WWDCでパーソナライズされたSiriを初デモ
  • 2024年9月:iPhone 16シリーズが発売、Apple Intelligenceを前面に押し出す
  • 2025年3月:Appleがパーソナライズされたsiriの延期を発表、集団訴訟が相次いで提起される
  • 2026年5月:Appleが2.5億ドルでの和解に合意
  • 2026年9月21日:申請受付開始
  • 2027年2月24日:裁判所が最終承認審理を開催、この後に支払いが行われる

発表会でのデモからユーザーが実際に支払いを受け取るまで、2年半以上の期間が空くことになる。新しいAI版Siriは今月ようやくベータ版として公開されたばかりで、当初は英語のみの対応だ。

Appleがsiriをめぐって和解金を支払うのはこれが初めてではない。2025年初め、Appleはユーザーに無断でSiriが録音していたと指摘された訴訟をめぐり、9500万ドルを支払うことで和解している。あのときはプライバシーが争点だったが、今回はマーケティングでの約束と実際の提供内容とのずれが争点になっている。

単純計算してみると、全員が見込み額の25ドルを受け取る場合、2.5億ドルはおよそ1000万台分に相当する。全員が上限の95ドルを受け取るには、有効な申請件数がおよそ260万件未満である必要がある。どちらの数字も弁護士費用や運営コストを差し引いておらず、実際に分配できる金額はこれより少なくなる見込みだ。1台あたり最終的にいくら受け取れるかは、申請の締め切りと裁判所の承認を経て初めて確定する。

参考資料:MacRumors、CocoLoop、和解公式サイトsmartphoneaisettlement.com、CBS News。申請期限と対象機種は和解公式サイトで、最終承認審理の日程と1台あたりの支払い額の範囲はMacRumorsで確認した。