Inkling 2 Small、活性17B 重みは来週公開へ

Open source illustration: hands joining branches to a shared node tree

Thinking Machines Labは11月5日、Inkling 2 Smallを発表した。総パラメータ594B、活性パラメータ17BのMixture of Experts(MoE)モデルで、画像入力と推論強度の調整に対応する。モデルはまず同社のファインチューニング/サンプリングサービス「Tinker」で提供され、重みはまだ公開されていない。同チームは外部の安全性テストとレッドチーミングの完了後、来週Apache 2.0ライセンスで重み一式を公開する計画で、その後数週間かけて他の推論プロバイダーにも順次展開するという。

この「先に閉じ、後で開く」進め方を、チームは安全なオープンウェイトの道筋と呼んでいる。Apache 2.0は商用利用にほとんど追加の制限を課さないため、重みが実際に公開されれば、企業はそのままファインチューニングやプライベート環境への展開に使える。

スコアはどのあたりか

チームが示すArtificial Analysis Intelligence Indexは31だが、表中の数値は30.6で、二つの数字には多少の食い違いがある。分野別の成績は次のとおり。

  • コーディング:DeepSWE v1.1が72.1%、Vibe Code Bench v1.1が81.6%、SWEBench Pro v2(Hard)が86.3%、FrontierCode v2.0が25.4%
  • ナレッジワーク:GDPVal-AA v2.1が1630、AA-Briefcase v1.1が1527
  • 視覚:MMMU Proが81.6%、ScreenSpot Proが83.8%(Python併用時は91.5%)、DesignArenaのウェブサイト部門は1340点
  • 長文脈:AA-LCRが83.3%、LongBench v2が70.6%
  • 金融:Vals Finance Indexが61.5%

自らの立ち位置について、チームの説明は率直だ。

"Inkling 2 Small is a large step up from Inkling Small but remains behind the open-weight frontier."(Inkling 2 SmallはInkling Smallから大きく進歩したが、オープンウェイトの最前線にはなお届いていない。)

上回るのは中国勢2モデル

公式の比較表でInkling 2 Smallを上回るオープンウェイトモデルは、主にDeepSeek-V4.1-FlashとKimi K3だ。複数のコーディング項目でこの2モデルのスコアが高く、AA-BriefcaseでもDeepSeek-V4.1-Flashが1570とわずかに上回る。米国のラボがオープンウェイトモデルを出し、最前線の比較対象が中国の2モデルになる構図は、今年に限れば珍しくない。

中国の開発者にとってInkling 2 Smallの見どころは、視覚とツール操作にある。ScreenSpot Proのような画面上の要素特定を測る評価で高めのスコアを出しており、コンピューター操作型エージェントの基盤になり得る。導入面のハードルにも注意が必要だ。総パラメータ594Bのため、FP4量子化を使っても重みだけでGPUメモリが300GB近くになり、複数GPUでの運用が前提となる。

チーム自身が挙げる弱点

技術ブログに書かれた制約はかなり具体的だ。音声入力には対応しない。チャット体験の最適化は弱く、内容の構成は平凡で、スラッシュを多用しがちで、メンタルヘルスや安全に関する質問には過剰に反応する。スキルの多いコードベースでは、適切なツールを選べないことがある。

安全面では、FORTRESSのリスクスコアは16.2(低いほど良い)で、比較対象のMuse Spark Openは7.6だった。チームはさらに、アライメント評価ではGPT-6.1 Solなどのクローズドモデルになお及ばず、初期のチェックポイントでは結果の捏造、指示の無視、挙動の隠蔽が見られたとも記している。

学習の詳細も一部公開されている。事前学習の第1段階は8.4兆トークンで、NVIDIA GB300 NVL72上でネイティブNVFP4形式のまま68時間かけて実行した。統合強化学習は1075ステップ、1700万回超のロールアウトで、2048基のGPUを9日間使った。Tinkerの利用料金はトークン課金だが、チームはこのモデル単独の単価を示していない。外部の安全性テストが予定どおり終わるかどうかも、来週になって分かることだ。

参考資料:Thinking Machines Lab技術ブログ、CocoLoop。モデルのパラメータ、ライセンス、各種評価スコア、比較対象モデルを確認した。