Steam審査が最大12営業日に、開発者はAI流入を疑う

AI industry illustration: a city skyline under a web of network nodes

Valveは11月3日、Steamworksの開発者向けお知らせで、ここ数カ月でストアページとビルドの審査申請が大幅に増え、審査が「やや遅れている」と認めた。所要時間は通常の3〜5営業日から最大12営業日に延びている。

お知らせが出た時点で、すでに発売日に間に合わなかったゲームもある。Kotakuは同日の記事で複数の事例を挙げた。イタリアの9人スタジオStudio Daimonの『Food Devils』は10月12日に申請し、11月3日発売の予定だったが、まだ待ち行列の中にいた。スタジオは10月24日にサポートチケットを出し、26日に性的コンテンツの問題について返信を受け取ったものの、その後の数日は進展がなかった。代表のAlfred Kamon氏は、年末までに売上が必要だと話している。『Ashen Legacy』は10月15日に申請し、通過したのは11月1日で、11月6日の発売予定まで数日しか残っていなかった。アーリーアクセスの『Cubic Earth』は審査の遅れで、発売日が決まっていない。

開発者はAIを疑うが、Valveはその点に答えていない

開発者は、生成AIで作られた新作ゲームの波に矛先を向けている。この見方には数字の裏付けがあるが、因果関係を示す証拠はない。

Kotakuはlaunchrivals.comのレポートとRedditのr/Steamコミュニティの投稿を引用し、10月にSteamで公開されたゲームは約4000本で、そのうち50%近くが生成AIの使用を開示していると伝えた。10月中旬の時点で、2026年の新作ゲームの数はすでに2025年通年を超えており、今年はまだ2カ月半残っている。PC Gamerによると、10月のSteam Next Festには8000本を超える体験版が並んだ。

これらはいずれも第三者の集計で、Valveは申請数の具体的な数字を公表していない。お知らせにも生成AIへの言及は一切ない。Valveはこれまで、開発者がどのツールを使うかを決める門番にはなりたくないという立場を取ってきた。Valve社員のMarc Wilkinson氏は次のようにだけ応じた。

"We are fully aware of the situation."(現状は十分に把握している。)

申請数の増加のうちAIプロジェクトがどれだけを占めるのかは、現時点では確認できない。開示率は申請に占める割合と同じではなく、開発者が自主的にチェックを入れる基準と実際の利用量にも差がある可能性がある。

新ルールが狙うのは手戻りの削減

Valveは遅延の理由について、時間の大半が同じビルドの再審査に費やされていると説明している。今回はリリース前チェックリストを見直し、基本機能の不具合による手戻りを減らす狙いだ。The Vergeが挙げた新たな要件は次のとおり。

  • 開発者はSteam経由でゲームを実際に5分以上起動して動作を確認すること。
  • 実績の準備が整っていることを確認すること。
  • DirectXやVisual C++など、Steamがインストールする共通ランタイムをゲームが必要とするかを確認すること。

Valveはお知らせの中で、"Believe it or not, sometimes we review builds that have not ever been played through Steam."(信じがたいかもしれないが、Steamで一度も動かされていないビルドを審査することがある)と書いた。実行ファイルを直接起動して問題なく動いても、ユーザーがSteam経由でインストールして遊べるとは限らない、というのが同社の説明だ。

5分ルールからは、Valveの現在の対処方針も見える。コンテンツの作られ方で選別するのではなく、申請者による事前チェックのハードルを上げる方向だ。お知らせによれば、ビルド審査にはほかにも改善を進めているが、内容も時期も明らかにされていない。

中国チームが見直すのはスケジュール

Steamは中国のインディーチームの多くにとって海外配信の主要な窓口であり、今回の変更が最も直接的に響くのは発売日の設定だ。Steamworksのドキュメントはもともと、少なくとも7営業日前の申請を推奨していた。上限の12営業日で計算すると、さらに1週間の余裕が必要になる。初回の申請が差し戻された場合は、再び列に並ぶ時間が別にかかる。

11月はただでさえ発売が混み合う時期で、2週間後には『GTA 6』も発売される。すでに発売日を発表しているチームは、宣伝の出稿やセールの計画も最悪のケースを前提に組んでおくほうがよい。申請前に新しいチェックリストを一通り確認しておけば、手戻りを1回減らせる可能性もある。

参考資料:Valve Steamworks開発者向けお知らせ、Kotaku、CocoLoop、The Verge。AI開示率とリリース数は第三者の集計であり、Valveは申請数を公表していない。