Alphabetが今週発表した7〜9月期決算で、検索事業は初めて、AIが与える影響について投資家に明確な不安を抱かせた。検索その他広告の収入は634億ドルで前年同期比12%増となり、アナリスト予想の15%を下回った。株価は一時、最大10%下落した。
最高財務責任者(CFO)のPhilipp Schindler氏は、決算説明会で減速の理由を次のように説明した。
“the strong growth in AI mode queries had an impact because of the lower monetization”
(AIモードのクエリが大きく伸びたが、収益化の水準が低く、売上に影響した。)
AIモードは、Googleが検索に加えた対話型の入り口だ。ユーザーはモデルが生成した回答を直接受け取り、従来の検索結果ページに比べてクリックできる広告枠は少ない。経営陣は今回、AIモードとAI概要の利用数を開示せず、有料クリックのデータも個別には示さなかった。
検索以外の事業
Googleサービス部門全体の売上高は963億ドルで11%増。そのうちYouTube広告は112億ドルで9%増だった。サービス部門の営業利益は392億ドルで、利益率は40.7%。
最も伸びたのはクラウドだ。Google Cloudの売上高は307億ドルで、前年同期の152億ドルから103%増えた。営業利益は36億ドルから111億ドルに拡大し、利益率は23.7%から36.2%へ上昇した。クラウド事業を率いるThomas Kurian氏は、AIエージェントが今後もクラウド収入の成長を押し上げるとの見方を示している。
利用面では、Geminiアプリのユーザー数が10億人に達し、APIは毎分約320億トークンを処理している。これは1年前の4倍強にあたる。Sundar Pichai氏は、「数十億人」にサービスを提供するため、Carbonモデルをより小型に蒸留したバージョンを開発中だと述べた。AIモードの1クエリあたりのコスト削減に直結する取り組みだ。
二つの増分を粗く試算する
決算の数字から大まかに計算してみる。検索広告の前年同期は約566億ドル(634億ドルを1.12で割った推計値)で、1年で約68億ドル増えた計算になる。一方、Google Cloudは1年で約155億ドル増え、検索の増分の2倍以上に達している。検索が市場予想どおり15%成長していれば、今四半期は651億ドル前後になるはずで、実績は約17億ドル少ない。これはクラウド事業の今四半期の前年同期比増分の約1割にあたる。
金額だけを見れば、不足分は大きくない。投資家が気にしているのは方向性だ。検索は依然としてAlphabet最大の利益源であり、AIモードが使われるほど、1クエリあたりに売れる広告は減っていく。この傾向が続けば、成長はよりクラウドとサブスクリプションに頼ることになる。
設備投資も膨らんでいる。7〜9月期は514億ドルを投じ、通期ガイダンスは1,950億〜2,050億ドルで据え置いた。Schindler氏は2027年について「大幅に増える」と述べている。クラウドの高成長と利益率の改善が、この投資への市場の懸念をある程度和らげたが、検索の減速によって問題があらためて表面化した。
まだ答えが出ていない点
Googleは、AIモード内の広告をどう販売するのか、従来の検索に比べて単価がどれだけ低いのか、AIモードのクエリが検索全体に占める割合がどの程度なのかを明らかにしていない。次回以降の決算でAIモードの広告収入やクリックのデータが個別に開示されれば、今回の減速が過渡期の痛みなのか、検索のビジネスモデルの長期的な変化なのかを外部から判断できるようになる。それまでは、市場は1ポイント単位の成長率の差から推測するしかない。
参考資料:Alphabet 7〜9月期決算、The Decoder、CocoLoop、Alphabet 決算説明会。検索広告、Google Cloudの売上高、設備投資の数字は決算資料で確認済み。前年同期の基準値は推計。