OpenMOSSチームは、パラメータ数5Bの画像生成モデルMOSS-Imageを公開し、オープンソース化した。BaseとSFTの2バージョンの重みはApache-2.0ライセンスでHugging Faceに置かれ、GitHubリポジトリには中国語の説明とComfyUIワークフローが付属する。技術レポートも同時に公開された。チームは公式ブログで、このモデルの位置づけを次のように述べている。
「長文テキスト、構造化レイアウト、ファインチューニング可能なデプロイを、ひとつの生成パスにまとめた5Bのオープンウェイト画像生成システム。」
長文と編集可能なレイアウト
テキストから画像を生成するモデルは、大量の文字の描画が昔から苦手だった。MOSS-Imageが売りにしているのは、まさにこの部分だ。最長で約4Kトークンのプロンプトに対応し、中国語・英語のどちらの長文でも改行や段落構造を保てる。
もう一つの特徴が構造化レイアウトだ。キャンバス、テキストブロック、オブジェクト、バウンディングボックスをJSONで記述し、位置、大きさ、相互の関係を直接指定できる。デザイナーは画像を出す前に構造を何度でも修正でき、レイアウトが固まってから生成すればよい。プロンプトの運任せで何度も試し直す手間が省ける。
技術面では、ゼロから事前学習したシングルストリームのDiffusion Transformerで、オプティマイザーにはMuonとAdamWを組み合わせている。テキストエンコーダーはQwen3.5-9B、画像のデコードにはFLUX.2のVAEを利用する。学習データは約30億枚の画像で、多粒度のキャプション、文字の教師信号、バウンディングボックスの注釈が付く。解像度は段階的に1024×1024まで、テキストのコンテキストは4096トークンまで引き上げた。
評価の数値
チームが独自に構築した長文テストLLTBは、中国語・英語それぞれ120問で、対象テキストは平均約1340文字。MOSS-Imageは6項目の平均で96.3となり、チームはオープンウェイトモデルの中で最高だとしている。同じ表のQwen Image 2512は64.9だった。最も長い英語タスクでは97.1、最も長い中国語タスクでは92.4を記録した。
レイアウトのテスト7Benchでは差がさらに開く。
| モデル | mIoU | Layout AUC |
|---|---|---|
| MOSS-Image | 0.8786 | 0.7031 |
| Ideogram 4 | 0.4449 | 0.2046 |
| Nano Banana Pro | 0.3296 | 0.1628 |
| GPT Image 2 | 0.3042 | 0.1554 |
ところが、エンドツーエンドの人間の好みを測るRealLayoutArenaでは、GPT Image 2が約1844点で1位、MOSS-Imageが約1699点で2位、Seedream 5 Proが3位だった。チームは、3つのテストはプロトコルが異なるためスコアは互換性がなく、統一ランキングにはならないとも注記している。これらの数値は現時点ではチーム側の公表値であり、第三者による再現は確認されていない。
中国の開発チームは何に使えるか
中国語のデザインツールを手がけるチームにとって、好材料はいくつかある。Apache-2.0は商用利用が可能で、5Bという規模は数百億パラメータ級の画像モデルよりずっと軽い。経験的な見積もりでは、VRAMの大きいコンシューマー向けGPU1枚で推論とLoRAファインチューニングが動く見込みだが、必要なVRAMの詳細は公式の説明に従ってほしい。Diffusers、Gradio、ComfyUIに対応し、LoRAと全パラメータのファインチューニングも使える。自前でデプロイしたくない場合は、MOSIのホスティングAPIも利用できる。
用途としては、中国語の長文はECのポスター、縦長画像、授業資料、WeChat公式アカウントのヘッダー画像などで日常的に必要になる。これまでオープンソースモデルはこの分野が総じて弱く、生成後に人の手で文字を組み直すことが多かった。JSONでレイアウトを固定できれば、既存のテンプレートシステムへの組み込みも容易になる。
制約も同じくはっきり書かれている。現行バージョンはテキストから画像の生成のみで、参照画像は入力できず、ネイティブの画像編集機能もない。プロンプト拡張モジュールは外部の言語モデルに依存するため、プランニングの出来がそのまま出力に影響する。画像の修正や背景の差し替えが必要なワークフローでは、別のモデルとの併用が欠かせない。
参考資料:OpenMOSS公式ブログ、CocoLoop、MOSS-Image技術レポート、Hugging Faceモデルページ。パラメータ規模、ライセンス、LLTBおよび7Benchのスコアは技術レポートで確認した。