Black Forest Labs(BFL)は10月15日、「FLUX 3 Image Klein」の重みを公開した。テキストエンコーダーを除いて56億パラメーターのテキストから画像を生成するモデルで、1つのモデルでテキストからの画像生成、画像編集、複数参照画像からの生成をこなし、参照画像は最大10枚まで入力できる。ネイティブ4K出力、精密な編集、バウンディングボックスによるレイアウト制御といった機能は、フル版のFLUX 3 Imageと同等だという。FLUX 3ファミリーでは、FLUX 3 Actionに続く2つ目の重み公開モデルとなる。
本サイトではこれまで、FLUX 3 ImageのAPI提供開始を取り上げた。そちらはクローズドソースのフル版で、今回のKleinはローカルにダウンロードして使える小型版にあたる。
VRAMと処理速度
BFLが用意したバリアントは2種類。ファインチューニング向けのベース版と、低遅延での画像生成を狙ったステップ蒸留版だ。量子化版としてFP8、INT8、NVFP4の3種類も提供される。ジェネレーターの重みはBF16で11.2GB、FP8で5.6GB。INT8版なら、VRAM 8GBのGeForce RTXでも動作する。
公式のローカル速度は100万画素あたりの値で示されている。蒸留版にINT8を組み合わせてComfyUIで動かした場合、RTX 5090で1枚あたり約4秒、RTX 4070では9秒弱。蒸留版は16ステップで1024×1024の画像を生成し、GB300の0.55秒からRTX 4070の8.9秒までの幅がある。ベース版は50ステップで、GB300では1.7秒、DGX Sparkでは43.8秒かかる。LoRAを読み込むと、所要時間は5%ほど増える。BFL自社のAPI経由では、テキストから画像生成のエンドツーエンド遅延の中央値は4.54秒、画像編集は7.18秒だった。
他のオープンモデルとの比較
BFLが比較対象に挙げたオープンモデルは、いずれもKleinより大きい。Qwen-Image 2.1は約70億パラメーター、Krea 2は129億、自社の前世代であるFLUX.2 [klein]は90億だ。FLUX.2 [klein] 9Bと比べると、新モデルはパラメーター数が38%少ないのに、テキストから画像生成のEloが91ポイント、画像編集のEloが70ポイント高い。
BFLは「FLUX 3 Image Klein ranks first in text-to-image, multi-reference generation and image editing」(テキストから画像生成、複数参照画像生成、画像編集で1位)と結論づけており、同じ評価ではクローズドソースのIdeogram V4.5とFLUX.2 [pro]も上回ったとしている。これらの順位はいずれもBFLの内部評価によるもので、第三者によるブラインドテストのデータはまだ出ていない。
オープンソースの画像生成という文脈では、アリババのQwen-Imageシリーズが最も直接的な競合になる。どちらも編集と複数画像参照を前面に出している。BFLが賭けたのはサイズだ。パラメーターが少なく、必要なVRAMも一段低い。公式の言葉を借りれば「Fewer parameters make it practical to run locally and cheaper to adapt」(パラメーターが少ないほど、ローカル実行が現実的になり、適応のコストも下がる)。すでにComfyUIでワークフローを組み、手元にミドルクラスのGPUが1枚しかないクリエイターにとって、乗り換えられるかどうかは中国語プロンプトや中国語フォントの描画性能次第だが、今回BFLはこの点に個別には触れていない。
ライセンスと安全性
重みはFLUX Kommunity Licenseで提供される。年間売上が500万ドル未満の個人・企業は無償で商用利用でき、研究や非商用の用途も無償だ。それより大きな組織は、セルフホスト用のライセンスを購入するか、APIを使う必要がある。個人開発者や小規模スタジオはおおむね無償の範囲に収まり、売上が基準を超えた段階で別途ライセンス交渉が必要になる。
安全面では、BFLは公開前に外部機関のCinderに評価を依頼した。同社によると、Cinderの評価では他の一般的なオープンウェイトモデルよりも脆弱性が明らかに少なかったというが、評価方法とデータは公開されていない。ベースモデルはNVIDIA GB200 NVL72で学習された。
参考資料:Black Forest Labs公式ブログ、CocoLoop。パラメーター数、VRAM使用量、各ハードウェアでの生成時間、ライセンスの売上基準を照合した。