Anthropic、豪にオプトアウト著作権案を提案

Anthropicはオーストラリア議会の人工知能合同特別委員会に意見書を提出し、AIモデルの学習について「条件付きライセンス」の導入を政府に提案した。この案では、テック企業はオーストラリアの著作権保護コンテンツを学習に使えるが、権利者が同意しない場合はrobots.txtファイルでAIクローラーを遮断できる、いわゆる「オプトアウト」方式を採る。

『ガーディアン』紙の報道によると、Anthropicは意見書の中で、包括的な著作権の適用除外は得られないと認めている。オーストラリア政府はすでに昨年、テキスト・データマイニング(TDM)の例外規定を明確に除外しており、AI企業が許可なく無条件で著作物を学習に使うことは認めない方針だ。Anthropicが提案するのはそれよりも範囲の狭い案で、同社はオーストラリアのクリエイターを支援する意向も示した。

二つの公共放送局の反応

オーストラリア放送協会(ABC)と特別放送サービス(SBS)はそれぞれの意見書でこの方針に反対した。

ABCは現行の枠組みが報道業界に不公平で反競争的だとし、AI企業をオーストラリアの「ニュース・バーゲニング・インセンティブ」制度に組み込むよう求めた。この制度は現在FacebookやGoogle、TikTokを対象とし、大手プラットフォームにニュース機関への対価支払いを促すものだ。ABCはまた、AI企業にも報道機関と同じ著作権・名誉毀損・プライバシーの規定を守らせるよう求めている。

"This unequal treatment will accelerate the cannibalisation of the Australian news industry."

(この不平等な扱いは、オーストラリアの報道産業の共食いを加速させる)

SBSの意見書はChatGPTとClaudeを名指しし、これらの大規模言語モデルが許可も出典表示も対価の支払いもないままニュースコンテンツを利用しており、業界の持続可能性と社会的信頼を脅かしていると述べた。robots.txtについてのSBSの判断は明快で、この仕組みはしばしば無視または回避されており、侵害を避ける責任はAI企業側が負うべきで、出版社側にオープンウェブ全体を監視させるべきではないとしている。

各国のオプトアウト制度の現状

オプトアウト型の規定はすでに他の法域に存在する。EUの2019年著作権指令第4条は、権利者が機械可読な方法で権利を留保していない限り、商業目的のテキスト・データマイニングを認めており、EUのAI法は汎用目的モデルの提供者にこうした権利留保への対応を義務付けている。英国政府は2024年末に同様の案について意見募集を行ったが、多数のミュージシャンや作家、出版社から公然と反対を受け、現在も実現していない。

日本はさらに踏み込んでおり、著作権法第30条の4は情報解析を目的とする利用にかなり広い例外を認めている。一方、米国には法定の学習例外が存在せず、争いは主にフェアユースをめぐって個別に法廷で争われている。Anthropic自身も米国で代償を払った経緯があり、昨年、学習データに海賊版サイトからダウンロードした書籍が含まれていたとして、作家らの集団訴訟で15億ドルの和解に応じている。

この構図の中で、オーストラリアの現在の立場は特殊だ。TDMの例外はすでに政府によって除外されており、オプトアウト制度は依然として議論段階にあり、ABCとSBSが求める「先払い」方式にはニュース・バーゲニング・インセンティブという既存の枠組みを当てはめることもできる。三つの道筋のうちどれが最終案になるのか、政府はまだ時間軸を示していない。

来週の公聴会

委員会は来週シドニーで公聴会を開き、AnthropicとOpenAIの双方が幹部を派遣する見通しだ。別の報道によれば、OpenAIのサム・アルトマンCEOとAnthropicのダリオ・アモデイCEOは、別途行われる上院調査には出席しないという。シドニーの公聴会で両社が何を問われるのか、対価の支払い要求に歩み寄りを見せるのかは、現時点で公表されていない。

参考資料:ガーディアン、The Next Web、CocoLoop、オーストラリア議会人工知能合同特別委員会への公開意見書、ABCおよびSBSの意見書(引用確認)、EU著作権指令第4条および日本著作権法第30条の4(条文確認)。