VercelがIPOへ、アプリの30%はもはや人間が作成せず

VercelのCEOであるGuillermo Rauch氏は先週のインタビューで、IPOの時期について質問され、こう直接的に答えた。「会社は準備ができている。そして毎日、より準備が整っている。」

2年前なら決まり文句に聞こえたかもしれない。しかし、今Vercelがそう言うのには、数字という裏付けがある。

2年間でARRが240%成長

まずは財務数字から見ていこう。

  • 2024年初頭:ARR約1億ドル
  • 2026年2月:ARRが3億4000万ドルに到達(年換算実行率)
  • 2年間の成長率:240%

この成長率は、現在のソフトウェア業界では異常値だ。ほとんどのSaaS企業は、過去2年間、高金利とマクロ経済の圧力により成長が鈍化している。Vercelはむしろ加速している。

Rauch氏はその理由を率直に説明する。AIエージェントだ。

アプリの30%は人間の開発者が書いていない

これこそ、立ち止まって考える価値のある数字だ。現在Vercelのプラットフォーム上で稼働しているアプリケーションの30%は、AIエージェントによって生成・デプロイされたものであり、人間の開発者が一行一行コードを書いたものではない。

その論理は明快だ。AIエージェントがコードを書き終えたら、それをデプロイする場所が必要になる。そして彼らはVercelを選んだのだ。

これにより、かつて存在しなかった成長曲線が生まれた。人間の開発者の数は比較的安定しており、成長は線形だ。しかし、AIエージェントは指数関数的に増加する可能性がある。一人のエンジニアが同時に十数ものエージェントを異なるプロジェクトで並行稼働させ、それぞれがコードとデプロイリクエストを吐き出し続ける。この傾向が続けば、Vercelの使用量は理論上、開発者の数に制約されなくなる。Rauch氏の言葉を借りれば、「AIが生成するソフトウェアのためのインフラ市場には、単純に上限がない」のだ。

対応するプロダクトは、自然言語による記述からフロントエンドコードを直接生成し、Vercelプラットフォームにデプロイするツール「v0」だ。AIツールでコードを生成し、自社プラットフォームにデプロイする。生成から公開までが完全なループを形成している。Rauch氏はかつて、象徴的な言葉を残している。「この会社を始めたとき、デプロイできる人は数千万人だけだった。今や、世界中の誰もがアプリを作れる時代になりつつある。」数千万人がデプロイできる状態から、世界中の誰もがアプリを作れる状態へ。これは規模の変化ではなく、潜在市場の桁の変化だ。

IPOの窓はまだ開いていない

現実には、ソフトウェア株はこの2年間、全体的に評価圧力にさらされており、IPO市場はほとんどの企業にとって依然として凍結状態にある。Rauch氏は具体的な時期を示さなかった。理性的に言えば、彼らはより適切な市場環境を待っているのだ。

Vercelの前回の資金調達は、2024年9月のシリーズFラウンドで、Accelが主導し3億ドルを調達、評価額は93億ドルだった。この評価額にプレミアムを上乗せして上場できれば、初期の投資家にとっては良い出口となる。しかし、上場のタイミングを誤り、ソフトウェア株全体の評価額が回復していなければ、93億ドルの評価額が公開市場で維持できるとは限らない。

競合他社に関しては、Vercelはフロントエンドクラウドとデプロイツールのニッチ分野でCloudflareやAWSと競合しているが、3社の顧客層は異なる。Vercelは主にNext.jsエコシステムを基盤としている。Vercel自身がNext.jsの生みの親であり、この結びつきは当初から深く組み込まれており、乗り換えコストは極めて高い。

開発ツール分野の論理が変わりつつある

ここで背景を押さえておく必要がある。この2年間、「Vibe Coding」は業界の流行語となった。自然言語で機能を記述し、AIにコードを書かせるというアプローチだ。Cursor、GitHub Copilot、そしてv0に至るまで、誰もがこの方向に進んでいる。

これらのツールはコードを書くハードルを劇的に下げたが、「書いたコードを動かす」というニーズは消えていない。むしろ、コード生成量の爆発的な増加により、その必要性はさらに高まっている。Vercelはここでポジションを確保している。生成は簡単、デプロイは私に任せろ、と。

かつて、開発ツール市場の上限は世界中の開発者の数だった。今、Vercelが賭けている市場の上限は、世界中のAIエージェントの数だ。これは全く異なる天井である。

この論理が上場企業の評価額を支えられるかどうか。その答えは、今後12ヶ月のデータの中にあるかもしれない。

参考元:CocoLoop、Vercel CEO Guillermo Rauch signals IPO readiness as AI agents fuel revenue surge(TechCrunch)