Googleは9月10日、Windows版のGeminiデスクトップアプリを公開した。Windows 10と11に対応し、世界同時展開で、gemini.google/desktopからダウンロードできる。どの画面からでも「Alt+Space」を押すと、ブラウザに切り替えることなく、開いているウィンドウの上にGeminiが浮かび上がる。4月に公開したmacOS版に続く、Geminiとして2つ目のネイティブデスクトップアプリとなる。
Googleのブログが挙げる機能には、Gmail・Google Driveなど連携済みアプリからの情報取得、複数ステップのタスクをパーソナルエージェント「Gemini Spark」に任せる機能、「Nano Banana」による画像生成、「Gemini Omni」による動画生成、さらに文章の推敲・要約・アイデア出しといった通常の使い方が含まれる。Googleはこのアプリについて、軽量で目立たず、PCの動作を重くしないと説明している。
"This is just the beginning for the Gemini app on Windows, with more native desktop capabilities rolling out over time."
Mac版に比べて足りないもの
Mac版の機能説明と比較すると、Windows版には現時点で3つのネイティブ機能が欠けている。画面の内容をコンテキストとしてGeminiに渡す機能、アプリをまたいだ音声入力、そしてSparkがローカルフォルダにアクセスしてファイルを整理する機能だ。Googleは補完の時期を明らかにしていない。
Sparkの利用条件も変わっていない。18歳以上、個人のGoogleアカウント、Google AI ProまたはUltraへの加入が必要で、欧州経済領域、英国、スイス、ナイジェリアでは利用できない。職場・学校アカウントは、管理者がGeminiを有効化していれば基本的なチャットは使えるが、Sparkはこうしたアカウントには開放されていない。さらに、Sparkのヘルプページが挙げる対応プラットフォームには今のところWindowsが載っておらず、ブログの説明と食い違っている。実際に使えるかどうかはアプリ内で確認する必要がある。
同じショートカットに、すでに5つの先客
Windowsでは「Alt+Space」は取り合いが激しい。第三者による整理によれば、このキーの組み合わせは元々システムのウィンドウメニュー(移動・サイズ変更)のショートカットで、PowerToys Runも標準でこれを使う。MicrosoftのCopilotアプリは2024年12月からこれをクイック起動キーに設定し、ChatGPTデスクトップ版の伴走ウィンドウも同じキーを使う。Google自身が4月に出したデスクトップ検索アプリも同じ組み合わせを割り当てていた。Geminiは6番目の使用者になる。
競合が起きた場合のWindowsの処理は単純明快で、先に起動してバックグラウンドに常駐しているアプリがそのキーを獲得する。OpenAIのヘルプページは、ショートカットがすでに他のアプリに登録されている場合、ChatGPTの伴走ウィンドウは開かないと注意を促している。昨年12月にPowerToysユーザーが提出した問題報告では、CopilotとPowerToys Runが同じキーを取り合い、どちらが先に起動するかで毎回どちらか一方しか開けない状況が報告されていた。
3社のアシスタント、それぞれの持ち場
横並びで比較すると、Windows上での3つのAIアシスタントの立ち位置はそれぞれ異なる。
Copilotはシステム標準搭載でタスクバーに入口があり、新型ノートPCの中には専用のCopilotキーを備えるものも少なくない。MicrosoftはAlt+Spaceを誰かと奪い合う必要がない。ChatGPTはユーザー自身がダウンロード・インストールする必要があるが、ユーザー数と利用習慣で優位に立つ。Geminiも同様に個別インストールが必要だが、手札はGmailやDriveといった多くの人が毎日開くGoogleサービスで、そこから直接データを取得できる点にある。
この観点で見ると、Geminiがショートカットを奪いにいく狙いは利用頻度にある。ブラウザ上のGeminiはまずタブを切り替える必要があるが、デスクトップ版はキーの組み合わせひとつで済む。CopilotのキーやChatGPTのウィンドウからユーザーを引き寄せられるかどうかは、今後補われるネイティブ機能次第であり、画面コンテキストとローカルファイルアクセスは、まさにCopilotがシステムレベルで最も有利な2点でもある。
Geminiのダウンロードページでは、Alt+Spaceは「カスタマイズ可能なショートカット」と表記されている。複数のアシスタントを同時にインストールしているユーザーにとって、最も手間のかからない対処法は、いくつかを2つの修飾キーの組み合わせに変更し、起動のたびにどちらが先に立ち上がるか賭けずに済むようにすることだ。
参考資料:Google公式ブログ、9to5Google、CocoLoop、Progressive Robot。システム要件、ショートカット設定、Sparkの利用条件はGoogleのブログとダウンロードページで確認した。