Hugging Faceが73ノードでA1111を再現

Hugging Faceは9月10日、Gradio Workflowで再構築したWorkflow1111を発表した。AUTOMATIC1111の機能一式を、11本のメディアパイプラインと73個のノードからなる1枚のグラフに移植したものだ。作者はYuvraj SharmaとAbubakar Abidの2人。

このジャンルに馴染みのない読者向けに説明すると、AUTOMATIC1111はStable Diffusion時代に最も広く使われたローカルGUIで、当時のAI画像生成の操作作法をほぼ定義した存在だった。ポジティブ/ネガティブプロンプト、サンプラー、Hires. fix、image-to-image、ControlNet拡張などだ。その後コミュニティの重心はノード型のComfyUIへと徐々に移ったが、A1111の機能リストは事実上のベースラインであり続けている。

移植された機能

記事が挙げる再現項目には、スタイルプリセット付きのtext-to-image、Hires. fix(拡大+追加のノイズ除去)、image-to-image編集、大規模モデルによるプロンプトの書き換え、画像からのキャプション生成、物体検出によるインペイント用マスク生成、プロンプトマトリクスによるバッチ生成、アップスケールと背景除去、Cannyや線画などControlNet系のアノテーター、PNGメタデータの読み書き、image-to-videoが含まれる。

背後で呼び出されるモデルにはFLUX.1-Kontext、Qwen2.5-VL、DETR、ViT分類器、BRIA RMBG-2.0、Wan 2.2 I2Vがある。

Gradio Workflow自体は4種類のオペレーターを定義している。fnは普通のPython関数、modelはInferenceClient経由でモデルを呼び出し、spaceは別のGradio Spaceに直接つなぎ、datasetはHub上のデータセットの行を取得する。この4種類のうち、完全に自分のマシン上で動くのはfnだけで、残る3種類の計算力はすべて外部にある。

ComfyUIとの住み分け

記事が示す比較のうち、実質的な違いと言えるものがいくつかある。ノードが自分の所有しないハードウェアであってもいいこと、すべての出力が自動的に型付きのRESTエンドポイントになること、OAuthに対応しブラウザでログインするだけで使えること、異なるモダリティを同じキャンバス上に置けること、そしてカスタムノードは単なるPython関数なので、Pythonにできることは何でもできることだ。

最小構成のコードはわずか3行――gradioをインポートし、関数を1つ書き、gr.Workflow(bind=[your_function]).launch()を呼ぶだけでいい。デプロイはgradio deployでSpacesに直接プッシュする。さらにこのワークフロー全体はMCPに対応しており、エージェントがツールとして呼び出せることを意味する。

性能については記事中に数字が1つしか示されていない。画像を事前ロードしておけば、CPUベースのアノテーターは1回あたり約0.5秒だという。ライセンスについては記事中に明記されていない。

中国のユーザーにとっての意味

実際の使い勝手は、どちら側のネットワークにいるかで大きく変わる。22個の純粋にローカルなノードは、背景除去やCanny検出、線画抽出、メタデータ処理といった作業をオフラインで完結できることを意味し、この部分はネットワーク状況の影響を受けない。しかしmodelspaceの2種類のオペレーターはHugging Faceの推論エンドポイントを経由するため、中国からの直接接続の安定性は以前から課題であり、FLUX.1-KontextやWan 2.2のような重いモデルを呼び出す際は特に顕著だ。

Wan 2.2はアリババがオープンソース化した動画生成モデルで、中国国内にはModelScope(魔搭)というより近い配信経路がある。つまりこのグラフに含まれるモデルの多くは、中国国内にも対応するホスティングが見つかる状況にある。ただしWorkflowのランタイム自体は現状Hubに紐づいており、配信元を切り替えるにはfnノードを自分で書き換え、ローカルまたは中国国内のサービスを呼ぶ必要がある。不可能ではないが、余分なエンジニアリング作業になる。

ツールの進化という観点で見ると、A1111からComfyUIへの移行はフォームからグラフへの移行だった。Workflow1111のこの一歩は、『グラフが自分のGPUで動く』から『グラフが誰のGPUでも動く』への移行だと言える。この抽象化の層が成立すれば、ローカルのVRAMは『動かせるかどうか』の前提条件ではなくなり、単なるコストの選択肢になる。この見立てが正しいかどうかは、今後1、2年でコミュニティ内の自前ノードとレンタルノードの比率を見れば分かるだろう。

参考資料:Hugging Face公式ブログ、Gradioドキュメント、CocoLoop;ノード数、オペレーター分類、所要時間の数字は原文に基づいて確認し、中国国内での利用可能性に関する記述は編集部の判断による。