4月28日、ニューヨークのAI企業Activelyは4500万ドルのSeries B資金調達を発表した。ラウンドはTCVとFirst Harmonicが主導し、Bain Capital Ventures、First Round Capital、Alkeonも参加した。
これまでの調達分を含めると、Activelyの累計調達額は6800万ドルになる。
同社が掲げる狙いは明快だ。人が主導してきた営業チームの一部をAIエージェントに置き換えることだ。
創業者と初期顧客
創業者の2人はいずれもスタンフォード出身のAI研究者で、Mihir GarimellaがCEO、Anshul Guptaが共同創業者を務める。
初期顧客の顔ぶれはすでに目立つ。
- Attentive、消費者向けマーケティング自動化
- Ironclad、契約管理SaaS
- Ramp、企業支出管理
- Samsara、車両管理と産業IoT
なかでもSamsaraの事例は大きい。Activelyによると、同社のエージェントはSamsara内で1000人超のgo-to-market組織をカバーし、営業、事業開発、レベニューオペレーション、カスタマーサクセスの4領域にまたがって使われている。
つまり、電話をかけ、メールを書き、契約や案件の進み具合を追う仕事のかなりの部分を、Activelyのエージェントが引き受け始めている。
従来の営業ツールと何が違うのか
この10年、営業向けテックスタックは次のような道具を積み上げる形で広がってきた。
- SalesforceやHubSpotなどのCRM
- OutreachやSalesloftなどのメール自動化
- ZoomInfoやApolloなどのデータ拡張
- GongやChorusなどの商談記録ツール
それぞれは個別の問題を解くが、営業担当者は一日中いくつものタブを行き来することになる。
Activelyの売り文句は、むしろ「そのタブをまとめて閉じる」に近い。顧客アカウントごとに常駐エージェントを割り当て、エージェント自身が複数のプラットフォームからシグナルを集め、案件状況を判断し、次の動きを進める。営業担当者が常に張り付く前提ではない。
同社はこのモデルを「Intelligence-Led Revenue」と呼ぶ。PRめいた響きはあるが、考え方ははっきりしている。営業ワークフローを「人がツールを使う」形から、「エージェントが実行し、人が見直す」形へ移すということだ。
以前の営業AIと違う点
2024年から2025年にかけて出てきた営業AIの多くは、あくまでアシスタントだった。メールの下書きを作り、会議を要約し、次のアクションを提案する。ただし判断と実行は営業担当者に残っていた。
Activelyが違うのは、実行権限までAIに渡す点にある。
| 観点 | 従来の営業ツール | 前世代の営業AIアシスタント | Actively型エージェント |
|---|---|---|---|
| 複数プラットフォームからのシグナル取得 | 手作業 | 一部対応 | 完全自動 |
| 何をすべきかの判断 | 人 | AIが提案し、人が決定 | AIが決定 |
| 実際の実行 | 人 | 人 | エージェント |
| 稼働規模 | 1対1 | 1対1 | 24時間365日 |
この線が実用化されれば、「営業職」という仕事の定義は書き換わり始める。
数字の裏にある賭け
Activelyが投資家に示している成果は、顧客側のアウトバウンド転換率の改善、トップ営業人材のquota達成率の上昇、同種製品より速いAI導入だ。
具体的な割合は公表されておらず、Series Bのストーリーにはまだ余白が残されている。
それでも4500万ドルの調達と、Samsaraのような1000人規模のGTM組織での本格導入は、企業が「営業人員をAIで減らす」ことを取締役会レベルの選択肢として考え始めたことを示している。
Goldman Sachsは3月、AIが米国で毎月純減ベースで1万6000件の雇用を消しており、Z世代が最も大きな影響を受けていると試算した。かつて営業はAIに代替されにくい職種と見られていたが、今はその守りも薄く見える。
次の論点は、どの業界の営業職から先に減るのかだ。可能性が高いのは、高頻度で単価が低く、プロセスが標準化された領域だ。SaaSの契約更新、ECの顧客開拓、保険の初回接触などが該当する。
複雑なエンタープライズソフトウェア営業は、もっと遅い別の戦いになる。
参考資料: Actively raises $45M Series B to replace human-led sales with 24/7 AI 'superintelligence' agents (Tech Startups, CocoLoop, 2026-04-28)