Intuit、3000人削減へ OpenAIとAnthropicに注力

5月20日、IntuitのCEOササン・グッダルジが社内メモを送り、3000人(全従業員の17%)の人員削減を発表した。

TurboTax、QuickBooks、Credit Karmaを手がける老舗財務ソフト企業は、前年度好調な業績を記録していた。FY2025第2四半期の売上高は46.5億ドル(前年比17%増)、純利益は6.93億ドル(同48%増)。グッダルジ自身も3680万ドルの報酬パッケージを受け取っていた。好業績と潤沢な資金を考えると、このような動きは予想外だったが、削減は実行された。

コスト削減ではなく、エンジンの交換

グッダルジのメモは率直だった。「複雑性を減らし、会社構造を簡素化し、リソースをAIに集中する」。つまり、1万8200の役職の多くが新戦略のもとで不要と判断された。事業が失敗しているわけではなく、事業の進め方が変わったのだ。

Intuitはここ数年、AIを全製品に組み込むことを推進してきた。TurboTaxではAIが税務申告を支援し、QuickBooksではAIが経理を自動化し、Credit KarmaではAIがクレジットカード管理を支援する。これを加速するため、IntuitはOpenAIおよびAnthropicと複数年契約を結び、税務、会計、マーケティング機能をChatGPTとClaudeに直接統合した。ユーザーがChatGPTで税務申告について質問すると、背後でIntuitのエンジンが計算する仕組みだ。

この道が成功すれば、従来の労働力はあまり必要なくなる——少なくとも、それほど多くは必要ない。

テック業界の何度目のリストラか

2026年も半ばを過ぎ、米国テック業界では累計10万人以上が解雇された。主な動きは以下の通り。

  • Meta:5月に約8000人
  • Microsoft:4月に51年ぶりの大規模買い取り
  • Amazon:3月から5月にかけて数千人
  • Cisco:2月に4000人
  • Intuit:5月20日に3000人

共通のシナリオはほぼ同じだ——「AIファーストになる必要がある」。Snapは1000人を削減し、CEOはコードの65%がAIによって書かれていると公言。Ciscoは4000人を削減する一方、AI受注が60億ドルから90億ドルに急増したと発表した。違いは表現だけだ。Intuitのバージョンが最も直接的で、提携先の名前を挙げた。

逆説的な詳細

直感に反して、Intuitの株価は過去12ヶ月でS&P500をアンダーパフォームしている。収益も利益も増加し、AIのストーリーも語られているが、市場は懐疑的だ。投資家はSaaS企業の「AI変革」の話に飽き飽きしている。口先だけでは不十分で、IntuitがChatGPTとClaudeのユーザーから実際にキャッシュフローを生み出せるかが試される。

グッダルジの動きは賭けだ。「人員を絞り、残りのリソースをすべてAIに投入する。半年で結果を出す」。これは、昨年CognizantのAI責任者が述べたこととは正反対だ。同氏は、解雇をAIのせいにする企業はスケープゴートを探していると述べた。CNBCの計算によると、S&P500企業のうちAIを理由に解雇を公表した23社のうち、56%の株価が下落し、平均で25%下落した。Fiverrは54%下落した。

Intuitは、その56%に含まれないことを賭けている。

最も厄介な位置

Intuitの状況は、AI時代における中堅ソフトウェア企業の典型的なジレンマだ。上位では、OpenAI、Anthropic、Googleといった大規模モデル企業がエントリーポイントを奪いつつある。ChatGPTはすでに1万2000の米国金融機関と接続し、ユーザーのRobinhoodポートフォリオも読み取れる。税務申告や経理といった業務は、いずれAIが単独で処理できるようになり、Intuitのような仲介業者は不要になる。

下位では、欧米のAIネイティブなフィンテックスタートアップが台頭している。栄養分野のNourish、投資銀行分野のRogo、法律分野のManifest OSなど、あらゆる垂直分野で「ネイティブAI」スタートアップが資金調達を行っている。

Intuitは中間に挟まれている。AIに投資しなければ死を待つのみだが、積極的に投資しすぎるとチームの半分を削らなければならない。グッダルジは後者を選んだ。

今後の注目点

3000人の削減後、重要な四半期はFY2026第1四半期だ。その頃にはChatGPTとClaude内のIntuitモジュールが稼働しているはずだ。Intuitが投資家に対して「ChatGPTユーザーからこれだけの収益を得て、ClaudeからこれだけのARRを稼いだ」と示せれば、今回の削減は成功と言える。もし依然として「AI戦略」という言葉だけを語っているなら、話は面白くなる。

次回の決算発表は11月の予定だ。

出典:Intuit to lay off over 3,000 employees to refocus on AI(TechCrunch);CocoLoop、Intuit Cuts 3,000 Jobs, Putting Spotlight on Tech's AI Restructuring Wave(eWeek);Intuit Layoffs 2026: 3,000 Jobs Cut as AI Restructuring Hits TurboTax Parent(Swik Blog)