Moore Threadsの半期業績予告は、中国国産GPUの競争を「作れるか」から「安定して売れるか」という段階へ押し出した。
7月16日夜、科創板上場のGPU企業である同社は、2026年上半期の売上高を16.5億〜17.5億元と見込むと発表した。下限でも2025年通期の約15.05億元を上回る。2020年創業、2025年末上場のチップ企業にとって、半年の売上が前年通期を超えることは、発表会よりも市場の注文が語る材料になる。
会社は理由として、全機能GPUへの強い需要、夸娥インテリジェント計算クラスターの商用化加速、製品の安定供給を挙げた。なかでも分解して見るべき言葉は「安定供給」だ。国産AIチップが問われてきたのはPPT上の性能だけではなく、納入できるか、再購入されるか、クラスターで継続運用できるかだった。
半期売上はすでに前年通期を上回る
予告に並ぶ数字は濃い。2026年上半期売上は16.5億〜17.5億元、前年同期比で235.12%〜249.37%、伸び率は135.12%〜149.37%、前年同期から9.482381億〜10.482381億元増、2025年上半期売上は7.017619億元だった。
澎湃新聞と証券日報の続報は、2025年通期売上が約15.05億元だったという比較軸も補った。つまり2026年前半の6カ月で、Moore Threadsは前年1年分の売上をほぼ確実に超えたことになる。
産業上の意味は「国産GPUがまた伸びた」だけではない。訓練カード、推論カード、クラスター方案は単発購入だけでこの半期成長を作りにくい。背後には大口顧客向けの継続納入、または試験注文から大規模導入への移行がある可能性が高い。
S5000は製品名から納入の手掛かりになった
Moore Threadsは公告でMTT S5000にも言及した。同社によれば、この旗艦級の訓練・推論一体型フル機能GPU計算カードは「規模量産を実現」し、この製品を使った大規模クラスターの継続納入も進んでおり、兆パラメータ級大規模モデルの訓練を支えられる。
今回の業績予告は公認会計士による監査を受けていない。
この一文も本文に入れるべきだ。公告は単体カード性能、クラスター規模、顧客名、完全な損益計算書を示していない。ただし別の節目は確認できる。S5000は発表会の製品から売上に結びつく納入ラインへ入った。
国内モデル企業やクラウド事業者が必要とするのは、一枚のカードのピーク性能だけではない。ソフトウェアスタック、相互接続、スケジューリング、供給周期が一体で安定する必要がある。夸娥クラスターが理由欄に出てくることは、同社が散発的なハードではなく「カード+クラスター+ソフトウェア」を売りたいことを示している。
成長は鮮明だが、リスクも公告にある
会社は最終的な正確な財務データは2026年半期報告を基準にすると明記した。この限定は軽視できない。2026年第1四半期、同社は売上7.38億元、親会社株主に帰属する純利益2935.92万元を計上したが、非経常項目控除後の純利益はなお0.54億元の赤字だった。
上半期予告では売上の段差ははっきりしてきた。一方で利益の質、キャッシュフロー、大口顧客への集中度は半期報告を待つ必要がある。澎湃新聞によると7月16日終値時点の時価総額は約3050億元で、投資家は今期業績だけでなく、中国AI計算基盤の国産化調達余地にも賭けている。
次に見るべき三つの点
第一に、S5000と夸娥クラスターに対応する顧客構成を見る必要がある。少数案件に依存するなら変動は大きい。複数産業で再購入が始まっているなら、国産GPUの商業化の重みは増す。
第二に、粗利率と非経常項目控除後利益だ。チップ企業の売上は急伸し得るが、高コスト納入で積み上げた成長なら長期価値は割り引かれる。2025年通期の粗利益9.87億元、粗利率65.57%という旧口径が2026年上半期も保てるかは硬い指標になる。
第三に、WAICで示した「モデル訓練工場」「トークン生産工場」「エージェント生産工場」に実顧客の事例が伴うかだ。発表会のスローガンは多い。注文と導入現場こそ、国産GPUリーダーの物語が持続的なAIインフラ企業に変わるかを決める。
この予告の価値は、議論を「国産代替」から事業そのものへ戻したことにある。売上、納入、量産、クラスター、監査後の財務諸表。チップの物語は最後には冷たい表に落ちる。
参考資料:Moore Threads 2026年半期業績予告公告、智東西、証券日報、CocoLoop、澎湃新聞。上海証券取引所公告で売上レンジ、前年同期比、前年同期基数、監査状態、MTT S5000量産記述を確認し、証券日報と澎湃新聞でWAIC展示の手掛かり、2025年通期売上、2026年第1四半期売上、時価総額口径を確認した。