Anthropic、Claudeの無断転売を利用規約で禁止

AI policy illustration: scales on a circuit base with a red weight

Anthropicの新しい利用規約は11月12日に施行され、あと10日となった。10月の公表時に最も注目されたのは「Claudeへの虐待禁止」だが、「プラットフォームの悪用禁止」の節にはほかに2つの条項が加わっている。Claudeへのアクセスを許可なく転売・代理提供することの禁止と、盗用・不正・無許可の支払い手段を使って支払いを逃れることの禁止である。

インターネットアーカイブの保存版と照合した。6月1日のページは2025年9月15日施行の旧版のままで、この節に2つの条項はない。10月14日の保存版にはすでに入っている。つまり、10月の改定と同じタイミングで規約に加わっていたが、当時の議論はほとんど別の点に集中していた。

"Resell, proxy, or otherwise provide access to Claude through unauthorized means"

(無許可の手段でClaudeへのアクセスを転売、代理提供、またはその他の方法で提供すること。)

条文が名指しする行為

転売条項の後ろには、2種類の例が挙げられている。コンシューマー向けサブスクリプションを経由してリクエストを中継するサービスと、利用している製品やクライアントについて虚偽の説明をするサービスだ。

前者は、いわゆる「アカウントプール」型に当たる。Pro、Max、Ultraのサブスクリプションをまとめて購入し、Web版やClaude Codeの利用枠をAPIとして外部に販売するやり方だ。後者は、条文を読む限り、公式クライアントを装ってリクエストを送る手口も含み得る。これは当編集部の解釈であり、Anthropicが具体的な形態を一つずつ説明しているわけではない。

支払いの条項では、カードの不正利用や詐欺は分かりやすいが、「無許可」や「その他の方法で支払いを逃れる」はかなり範囲が広い。規約に一覧はなく、代理決済やギフトカードのようなグレーな経路が該当するかどうかは、今後の運用を見るしかない。

旧版が何も定めていなかったわけでもない。対象地域のポリシーに違反する人へのアカウントやAPIアクセスの提供、停止処分を受けた人の回避を手助けすることは、以前から禁止されていた。今回の変更点は、買い手と売り手のどちらにも地域の問題がなくても、転売そのものが違反になることだ。

中国語圏のユーザーへの影響が最も直接的

中国本土、香港、マカオはClaudeの対応地域に含まれておらず、多くの個人開発者や小規模チームが、中継サービス、アカウントの相乗り、代理チャージを通じて利用している。今年に入り、開発者コミュニティでは、中継アカウントが一斉に停止された、サービスが突然止まったといった報告が何度も出ている。これらの多くはユーザーや中継事業者本人の説明で、規模は確認できない。

新条項の施行にあたり、事前に整理しておきたい点がいくつかある。

  • 中継サービスの利用者:条文が縛るのは転売・代理を行う側だが、プロンプトやコードはまず第三者のサーバーを通る。事業者が使えるアカウントを失えば、残高や納品を保証する公式の窓口もない。
  • アカウント販売や相乗りを行う側:これまでは「規約に書かれていない」と言えたが、11月12日以降はその余地がなくなる。
  • プロダクトを作るチーム:自社機能にClaudeを組み込む場合、APIやクラウド事業者経由で利用することと、コンシューマー向けサブスクリプションを転送することは別物だ。自社用のリバースプロキシが「アクセスの提供」に当たるかどうかは条文に書かれておらず、Anthropicも公式に説明していない。

購入者側のアカウントも併せて処分されるのかについても、公式な説明はない。一般条項には、警告、利用制限、アクセスの停止または終了が可能とあるが、実際の運用の厳しさは具体的な事例を待つしかない。

2社が同じ月に動いた

OpenAIも先月に規則を改め、新版は11月20日に施行される。モデルルーターやAIゲートウェイがOpenAIのモデルを第三者に提供するには、事前の審査を通る必要がある。両社の時期の差はわずか8日で方向性も近いが、書き方は異なる。OpenAIは承認の手続きを設け、コンプライアンスを満たしたゲートウェイの入口を残した。Anthropicのこの部分は「無許可」としか書かれておらず、許可対象の一覧も申請の経路も公表していない。

Anthropicとサードパーティツールとの綱引きも、今回が初めてではない。今年4月には、サブスクリプションの利用枠でOpenClawなどのツールを動かす経路を一時的に遮断し、その後再開して、エージェント向けの利用枠を別立てにした。この経緯は、同じ「サブスクで第三者ツールを動かす」という使い方でも、規則が1年のうちに行ったり来たりしうることを示している。この経路に頼っているチームは、アカウントに問題が出てから調べるより、いま自分たちの接続方法を点検しておくほうが手間が少ない。

Anthropicは、転売をどう検知するのかという具体的な手法も、この種の停止の件数も公表していない。いずれも施行後の運用を待つ必要がある。

参考資料:Anthropic Usage Policy現行版、インターネットアーカイブの保存版、CocoLoop、OpenAI利用ポリシー関連報道。新規条項は2つの保存版の比較に基づく。コミュニティで報告されているアカウント停止は公式には確認されていない。