Anthropic、7~9月期は営業赤字に 短期計算資源に50億ドル

AI funding illustration: a hand placing a red chip on the tallest stack

Anthropicは月曜日にS-1の修正版を提出し、目論見書として初めて第3四半期(7~9月期)の業績を盛り込んだ。売上高は169.6億ドルで、前四半期比47%増、前年同期の13.82億ドルの約12倍に当たる。営業損益は5.67億ドルの赤字で、前の四半期には9.74億ドルの営業黒字だった。

10月中旬、英フィナンシャル・タイムズは、Anthropicが投資家に168億ドルの売上高と「調整後ベース」の黒字を伝えたと報じていた。今回の数字は規制当局向けの提出書類に基づく。売上高に大きな差はないが、利益の欄は算出基準が変わり、結果は赤字側に落ちた。

営業赤字の原因は2つの費用

同社は赤字転落の主因を、50億ドルの短期の計算資源だと説明している。Anthropicは昨年末から計算資源の不足が続いており、ニューヨーク・タイムズによると、アマゾン、グーグル、SpaceX、半導体メーカー、事業転換した暗号資産のマイニング企業などと数十件の契約を結んだ。今年の利用可能な電力は3.5ギガワットを超える見通しで、来年は倍増を計画している。

もう1つは、従業員の寄付に対するマッチング拠出20億ドルで、これは非現金費用にあたる。

ざっと計算してみる。この2つを足し戻すと、第3四半期の営業利益は約64億ドルになる。この数字はあくまで算術上のものだ。同社はこの基準を使っておらず、書類も短期の計算資源の支出が今後発生しないとは保証していない。ロイターは、この追加支出の影響で、計算資源1ドル当たりの売上高が前四半期より低下したとも伝えている。

純損失は別に見る必要がある。第3四半期の純損失は232.9億ドルで、営業赤字の約41倍。差額には転換証券に関連する非営業項目が含まれる。最初の9カ月間の純損失は約1040億ドル、売上高は332.4億ドルで、このうち940億ドル超が転換社債などの商品に関する非現金の公正価値変動だ。会社の評価額が上がるほど、この帳簿上の損失は膨らむ。当期の事業の良し悪しとはあまり関係がない。第3四半期単独でこの項目がいくらだったかは、確認できた報道では内訳が示されていない。

8950億ドルの支払い予定表

修正版が開示した計算資源とインフラの購入・リース契約の約定額は、合計で約8950億ドル。各メディアの伝え方は8954億ドルから8959億ドルまでばらつきがある。このうち約半分は2030年末までに支払う必要があり、9月30日から12カ月以内に期限が来る額は698億ドルだ。

第3四半期の売上高を年率換算すると約678億ドルで、今後12カ月の支払い期限額とほぼ同じ規模になる。これは静的な比較にすぎない。売上高はなお伸びており、この支払いが会社のコスト全体というわけでもない。それでも、この支払い予定表の重さは見て取れる。

書類のリスク要因は、取引先についても触れている。

"Certain of our compute providers and infrastructure partners depend on third-party financing or credit support"

(当社の計算資源提供者およびインフラ提携先の一部は、第三者の融資または信用補完に依存している。)

書類はさらに、こうした資金調達が途絶えたりコストが上がったりすれば、契約済みの供給能力が遅れたり、価格が見直されたり、縮小されたり、あるいは提供されなくなったりする可能性があると続ける。ロイターは、ウォール街がAIインフラ向けの借り入れを警戒しており、テック債のスプレッドがすでに拡大していると伝えた。

上場前にまだ決まっていないこと

大口顧客の数は急速に増えた。年間売上高が10万ドル以上の顧客は1万1900社を超え、昨年末は1500社余りだった。ただし伸びは鈍っており、前四半期比の増加率は4~6月期の144%から7~9月期は47%になった。

ロイターによると、投資家の間で議論されている評価額は約1.5兆ドルで、従来の約2兆ドルから下がった。Renaissance CapitalのMatt Kennedy氏は、成長率と利益率への圧力が最終的な評価額に反映されるとみている。ニューヨーク・タイムズは調達額を約1000億ドルと報じ、日本経済新聞はそのうち最大35億ドルを日本の投資家が出すとしている。

ロイターは、ロードショーが来週始まると伝えた。価格決定と上場の時期は報道によって異なり、11月中旬に価格を決めるとする報道もあれば、来月上場するとの報道もある。公式な確認はなく、公開価格の想定レンジも明らかになっていない。

参考資料:Anthropic S-1修正版、ロイター、CocoLoop、The Decoder、ニューヨーク・タイムズ、日本経済新聞。売上高と損失は目論見書を引用した報道の数字と照合し、契約総額は概数。