Anthropic創業者7人が議決権50.1%要求

Anthropicは株主に対し、新たな株式構成の承認を求めている。CEOのDario Amodei氏を含む共同創業者7人が特別クラスの株式を取得し、会社の大半の議案について合覈50.1%の議決権を握るという内容だ。この件を最初に報じたThe Informationによると、同社は近く株主投票にこの案を諾る予定だという。Anthropicは公式にコメントしておらず、提案が報道通りの内容で可決されるか、条件が変更されるかは現時点で確認できていない。

この特別株は議決権のみを持ち、追加の経済的権利は伴わない。報道によれば、創業者7人はそれぞれ現在約2%の株式を保有しており、以前から個人資産の80%を寄付すると表明している。創業チームが帳簿上握る金額はさほど大きくなく、狙いは議決の多数派を握ることにある。

条項に盛り込まれた制約

報道で明らかになった詳細は4点ある。

1つ目は、支配権が継続条件付きであること。7人のうち少なくとも3人が最低保有株数を維持している限り、特別株の効力が続くとされる。具体的な閑値は報道されていない。

2つ目は、Long-Term Benefit Trust(長期利益信託)の役割が維持され、取締役会の過半数の席を引き続き同信託が選ぶという点。

3つ目は、創業者の取締役会の議席が2席から3席に増える点。

4つ目は、従業員が別クラスの株式を受け取り、一部の案件で可否が拮抗した際の決定権として使われる点。その「一部の案件」が具体的に何を指すかは明らかにされていない。

The Informationはこの仏組みをPalantirのクラスF株になぞらえている。Palantirでは創業者3人がクラスF株を通じてほぼ半分の議決権を保持しており、MetaのMark Zuckerberg氏やSnapのEvan Spiegel氏と並んで、少数株式で議決権を掌握する創業者の例としてしばしば引き合いに出される。Anthropicのやり方が異なるのは、支配権が7人という集団に帰属し、「少なくとも3人」という条件で維持される点だ。テック企業のデュアルクラス株構造としては珍しい形といえる。

この1年を振り返る

Anthropicは今年、資本市場での節目が立て続けに訪れている。

5月には650億ドルの資金調達を完了し、企業価値は投資後で9650億ドルとなり、初めてOpenAIを上回った。6月1日にはSECへ非公開でIPO申請を提出。8月には流通市場での取引価格が企業価値約10六5000億ドル相当を示した。9月中旬にはロイターが、AnthropicがIPOのアンカー投資についてNvidiaと協議していると報じ、噴く公開時の企業価値は約2兆ドルとされたが、両社ともコメントしていない。

議決権案がこの時系列の終盤に登場したのは理解しやすい。上場後は株主構成が大きく入れ替わり、公募ファンドや個人投資家、アンカー投資家が新たに加わる。創業チームはその前に議決権の構造を固めておきたい考えで、上場後に変更しようとすればより分散した株主層と向き合うことになる。

ガバナンスの下地はすでに整っている。Anthropicは公益法人(PBC)として登記されており、2023年にLong-Term Benefit Trustを設立、同信託が段階的に取締役会の過半数を選んできた。今回の案は、この信託に加えてもう一層を積み重ねる形になる。取締役会は引き続き信託が主導し、株主総会では創業者が過半数の票を握る。

2つの層の間で意見が割れた場合にどちらが優先されるかは、報道では触れられていない。従業員に割り当てられる「拮抗打破」用の株式クラスはそうした事態に備えたものかもしれないが、具体的な発動条件は正式な書類を待つ必要がある。

今後わかること

まず株主投票の結果だ。Anthropicの大株主にはAmazonやGoogleといった事業会社に加え、複数回の資金調達に参加した財務投資家も名を連ねるが、彼らが創業者の議決権過半数案をどう見ているかは報じられていない。

次はIPO申請書類そのものだ。非公開段階の書類は公開されていないが、S-1の公開版が出れば、特別株の具体的な閑値や失効条件、信託と取締役会の関係がリスク要因として記載されるはずで、その時点で初めて50.1%の実際の範囲が見えてくる。

参考資料:The Information、TechCrunch、CocoLoop、ロイター。創業者の持ち株比率、取締役会議席数、議決権比率はThe Informationの報道に基づく。企業価値は過去の公開資金調達及び報道に基づく。