OpenAIは米国時間10月26日、GPT-6.1 Terraを発表した。APIでのモデル名はgpt-6.1-terra。7月のGPT-5.6 Terra以来、中位帯であるTerraシリーズとして初の世代交代となる。訴求点は2つで、画面を読み取って人の代わりにパソコンを操作することと、価格をさらに一段引き下げたことだ。
標準のAPI料金は、100万入力トークンあたり1ドル、キャッシュ入力が0.05ドル、出力が5ドル。OpenAIは、GPT-5.6 TerraとGPT-6.1 Solのどちらよりも50%安いとしている。第三者が記録した旧価格によれば、GPT-5.6 Terraは入力2ドル、出力12ドルで、出力側の値下げ幅は6割近い。Solの出力価格は10ドルで、Solに対してはちょうど半額になる。
新モデルは本日から、ChatGPT WorkとCodexのPlus、Pro、Enterprise、Eduユーザーが利用でき、開発者はAPI経由で呼び出せる。無料ユーザーは今回対象外で、既定のモデルは引き続きGPT-5.6 Lunaのままだ。
主役はコンピューター操作
OpenAIが挙げる用途は具体的だ。届いた請求書を読んで会計ソフトにデータを入力する、技術図面を読む、フォームに記入する、動画を編集する、といったものである。評価に使われたのはAgents' Last Examで、建築図面を3Dモデルに変換する、アニメ作品をカットごとに確認して修正チーム向けにタイムコード付きの記録を書く、といった課題が含まれる。
同社が公表した成績は次のとおり。中程度の推論設定では、GPT-5.6 Terraより15ポイント高く、コストは約3分の1。フラッグシップのGPT-6 Astraとは同等の成績で、トークン単価はAstraの10分の1。タスクの完了速度はAstraとGPT-6.1 Solのどちらよりも3倍以上速いという。OSWorld 2.1では、中程度の推論設定でもGPT-5.6 Terraの最高成績を上回った。
コーディングでは、Terminal-Bench 4.0で最高の推論設定が50.3%のタスクを完了した。前世代で公表されていた数字は21.5%だった。ただしOpenAI自身も、最も複雑なコーディングタスクにはSolかAstraの利用を勧めている。
事実誤りの率も大きく変わった。OpenAIが自前で用意した誤答を誘発する問題セットでは、低推論設定の誤り率が53.6%から16.7%に下がり、最高設定では4.3%まで低下した。安全面では、OpenAIの準備フレームワークに照らして、Terraのサイバーセキュリティ能力は「重大」(Critical)の段階に達した。GPT-6 Astra向けに整備した防護措置を引き継いでおり、詳細はシステムカードに記載されている。
同クラスのモデルと比べる
上記の数字はすべてOpenAIの社内テストによるものだ。第三者機関のArtificial Analysisも同日に独立した結果を公表した。評価の方法は異なるが、方向性は一致している。
- インテリジェンス指数は最高設定でGPT-5.6 Terraより6ポイント高く、GPT-6.1 Solより4ポイント低く、GPT-6 Lunaより10ポイント高い。
- 指数の全項目を実行する際の1タスクあたりのコストは約0.40ドルで、前世代は1.40ドルだった。
- Coding Agent Indexのスコアは48で、Solは54、Lunaは31。
- AA-Omniscienceでのハルシネーション率は88%から38%に下がり、正答率も2ポイント上昇した。
Artificial Analysisは、低設定と中設定の推論が「知能とコスト」の曲線上の最適なフロンティアに乗っており、他の設定はフロンティアの外側にあると結論づけている。言い換えれば、Terraの最も賢い使い方は、低〜中設定で日常的なタスクを大量にこなすことだ。最高設定を一部の難問のために取っておく意味は薄く、その場合は最初からSolを選ぶほうが適している。
競合との比較では、OpenAIが引き合いに出したのはAnthropicのClaude Opus 5.5だ。Agents' Last Examにおけるタスク単価は、Terraの最高推論設定でOpus 5.5の約9分の1だという。Opus 5.5はAnthropicのフラッグシップ、TerraはOpenAIの中位モデルであり、両者の位置づけは同等ではない。この比較は、AIにマウスをクリックさせるような仕事に最高額のモデルを持ち出す必要はない、と企業顧客に伝えるメッセージに近い。
すでにCodexやChatGPT WorkでSolを使っているチームにとって、最も直接的な変化は利用枠にある。OpenAIによれば、同じ利用枠のもとでTerraはGPT-5.6 Terra、GPT-6.1 Sol、GPT-6 Astraより多くのタスクをこなせる。どれだけ増えるかについて公式は倍率を示しておらず、ユーザー自身がしばらく使ってみないとわからない。
参考資料:OpenAI製品発表およびシステムカード、Artificial Analysis独立評価、CocoLoop、鳳凰網テクノロジー。OpenAI API料金ページで入力・キャッシュ入力・出力の3つの価格を確認。