Anthropicの管理職、コーディング面接を廃止 Claudeの方が得意と主張

Enterprise AI illustration: three workers facing screens of workflow blocks

Anthropicのエンジニアリングマネージャーである Felix Rieseberg 氏は個人ブログで、今月から採用で従来型のコーディング面接をやめたと書いた。理由は単純で、この種の問題が測っているものは、すでにClaudeの方が候補者よりうまくこなせるからだという。

Rieseberg氏はAnthropicでClaude.ai、Cowork、Claude Codeデスクトップ版のエンジニアリングチームを率いてきた人物で、Electronの共同メンテナーでもある。これまでにNotion、Stripe、Slack、Microsoftで働いた経験がある。同氏はコーディング面接を、チームで活躍する人を大まかに見分ける「弱いが有用な」予測指標と位置づけており、その指標がもう機能しなくなったと述べている。

“Claude is now better at both”(Claudeは今や両方とも上手い)

この一文は、Reactのコーディングチャレンジとアセンブリのクイズを比べた文脈で出てくる。フロントエンドのフレームワークを問うても低レベルの細部を問うても、モデルの方が人間より良い答えを出すという。さらに同氏は、チームで最も影響力のある人たちはこうしたテストの成績とは無関係で、コーディング面接はどこでも使われているのに一度も好かれたことがない、とも書いている。

新人2人、週末ひとつ

記事の軸は経験の浅いエンジニアへの助言で、タイトルは「Hunger beats tenure」(意欲は在籍年数に勝る)。例に挙げたのがClaude Codeのグラフィカルインターフェースだ。エンジニアたちはClaude Codeがコマンドラインツールとして存在することに慣れきっており、GUIは長いあいだ誰も作らなかった。入社して間もないエンジニアの Anthony Morris 氏と Alice Zhao 氏が週末で動くプロトタイプを作り、約8日後に最初の公開版がリリースされた。

助言は大きく5点にまとめられる。

  • 会社が何を達成しようとしているのかをまず理解する。できれば「上司の上司」が気にしている目標まで把握し、バックログを黙々と消化するのではなく、事業に効く仕事を選ぶ。
  • その目標を軸に、大胆なアイデアをいくつか考える。
  • 要件定義書の作成、賛同集め、デザイナーやプロダクトマネージャーの日程調整といった手順を飛ばし、週末でプロトタイプを作る。
  • 1つのプロトタイプには1つのアイデアだけを入れる。経営層にチャンスを見せ、同時に、それを引き継いで形にできる人間だと示す。
  • 新人の視点を活かす。「それは無理だ」という理由をあまり聞かされていないからこそ、かえって実現できることがある。

背景にある変化を、同氏は「実行はもう高くつかない」の一言でまとめる。長年かけて積み上げたフレームワークの知識が、一人の人間の影響力の大きさを左右してきた。モデルがコードを書くコストを下げたことで、その壁がゆるんだという。Notion時代にはオフラインモードは無理だと言われたが、あとで分かったのは、データモデルの複雑さは本物だった一方、創業者が反対するという話は皆の思い込みにすぎなかったということだ。

中国の採用事情に置き換えると

Rieseberg氏は、より良い面接の形式はまだ見つかっていないことも認めている。現在は履歴書やポートフォリオを見て、「センス、共感力、筋道立った思考」がにじむ小さなプロトタイプを探しているといい、コーディング面接が戻ってくるとは考えていないと語る。これは一人のマネージャーが自チームのやり方を変えたという話であり、Anthropicが全社の採用プロセスを変えると公式に発表したわけではない。他チームが追随するかどうかは、現時点では確認できない。

中国のエンジニアにとって、この論理は現行の採用とかなり距離がある。中国の大手企業では、新卒採用でも中途採用でもオンライン筆記試験やホワイトボードでのアルゴリズム問題が広く残っており、問題集サイトの出題が就職準備の定番であることに変わりはない。モデルの問題解決力が大半の候補者を上回れば、筆記試験の点数で区別できる人は減り、面接官は遅かれ早かれ別のシグナルを探すことになる。リモート試験で候補者がAIを使っているかどうかを監督すること自体も、年々難しくなっている。

現実的な変化は、まず成果物のレベルで起きそうだ。動く小さなツールや、オープンソースのリポジトリで実際にマージされたコミットの履歴は、アルゴリズム問題の点数よりAIに代行させにくく、Rieseberg氏の言う「センス」にも近い。ただし限界もある。週末でプロトタイプを作るには、事業が何を求めているのかをまず理解している必要があり、その部分ではモデルはあまり助けにならない。

参考資料:Felix Rieseberg 氏の個人ブログ、CocoLoop 編集部による取りまとめ。面接方針変更の適用範囲、Claude CodeのGUIプロトタイプを作った人数、最初の公開版までの期間を確認した。