Space Bunny Alphaという匿名のモデルが、ここ数日OpenRouterと、オープンソースのコーディングツールOpenCodeの両方で1日あたりの利用量ランキング首位に立っている。OpenRouterの表記は「プレビュー期間中は匿名を選択した」サードパーティ提供元からのモデルというだけで、プラットフォームはリクエストのルーティングを担うのみで開発元ではない。9月28日時点で、名乗り出たベンダーはない。
公開されているスペック
サードパーティがまとめたOpenRouterの掲載記録によると、Space Bunny AlphaはUTC9月23日14時48分、北京時間では同日22時48分に公開された。確認できているスペックは以下の通り。
- コンテキストウィンドウは100万トークン、1回の出力上限は52万4288トークン;
- 入力はテキスト・画像・動画に対応、出力はテキストのみ;
- ツール呼び出しとJSON形式の出力に対応;
- 入出力の料金はいずれもゼロ。
OpenCodeは公開当日、1週間の無料開放を発表した。OpenRouterのページの稼働データによると、出力速度の中央値は毎秒約79トークン、初回トークンまでの遅延は約1.61秒、3日間の稼働率は98.96%、ツール呼び出しのエラー率は3.16%となっている。
QbitAIがコーディングの実機テストを行ったところ、Mac用の時計アプリの作成に22分46秒、画面キャプション表示ツールには5分弱かかり、1件を除きキャッシュヒット率は95%以上だった。テスターの評価は、速度が速く大半の問題が一発で解決する一方、思考過程が長く要求以外の機能まで作り込みがちだという。
手がかりはMiniMaxを指す
正体をめぐるネット上の憶測は、一時OpenAI、xAI、Meta、国内数社にまで及んだ。現時点で最も手がかりが集中しているのはMiniMaxだ。
ある開発者が公開当日にトークナイザーの指紋比較を行ったところ、独立した3つのテストいずれもMiniMax M3シリーズと一致した。9月27日、MiniMaxは自社のコーディング製品「MiniMax Code」でM3.1-Flash-Previewを公開した。ドキュメントには、コンテキスト100万トークン、テキスト・画像・動画入力への対応、思考のオフ不可、5段階のeffortパラメータによる推論深度の調整といった記述があり、これらはSpace Bunnyの公開されている挙動と高く重なる。位置づけも共に速度重視のFlash系だ。
いずれも状況証拠にとどまる。OpenRouterとMiniMaxはこれまでのところ両者が同一モデルであると確認しておらず、M3.1-Flash-PreviewもAPI料金やベンチマークスコアを公開していないため、外部が双方の実測データを直接突き合わせることはできない。
国内開発者が得られるもの
匿名のコードネームでOpenRouterに登場し無料で利用量を稼いでから正体を明かすというやり方は、国内ベンダーがすでに歩んだ道でもある。美団(Meituan)のLongCat 2.0がオープンソース化される前、同社はコードネーム「Owl Alpha」で匿名かつ無料で公開し、利用量が一時プラットフォーム首位に立った。ベンダーにとっては、ブランドへの期待を伴わない公開ストレステストであり、実際の利用データは社内評価より早く手に入る。
利用者にとって、この無料枠には考慮すべき前提が2つある。1つは期限で、OpenCodeは無料期間が1週間限りだと明記しており、過去の匿名モデルの前例に従えば、正体判明後は通常有料に切り替わる。もう1つはデータで、サードパーティのまとめによると、このプレビュー期間中のプロンプトは提供元に保存されており、学習には使わないと約束されているだけで、提供元が誰なのかは依然として分かっていない。オープンソースのプロジェクトや小規模なツールで使う分にはリスクは小さいが、社内コードや鍵を含む設定ファイルは、正体とデータ条項の両方がはっきりするまで待った方がよい。
参考資料:OpenRouterのモデルページと稼働統計、QbitAIのコーディング実機テスト、CocoLoop、CellCogのテックブログ、MiniMax開発者向けプラットフォームのドキュメント。公開時刻、コンテキストおよび出力長の上限、無料料金、スループットと稼働率の統計方式、M3.1-Flash-Previewの公開スペックを確認。