MiniMax、M3.1-Flash-Previewを公開

MiniMaxは9月27日、自社のコーディング製品「MiniMax Code」で新しいテキストモデル「M3.1-Flash-Preview」を公開した。公式の位置づけは日常的な開発作業で、小さなバグ修正から機能の実装までをカバーするという。同日、MiniMaxは全ユーザーのToken Planの利用枠をリセットし、追加の枠リセットカードも配布した。9月28日から10月7日まではMiniMax Codeのチェックインポイントが倍増し、新規・既存ユーザーともに参加でき、ポイントは全モデル共通で利用できる。

現時点でこのモデルに触れる入口は2つに限られる。Token Planのサブスクリプションか、MiniMax Codeそのものだ。従量課金の公開APIはまだ開放されていない。

ドキュメントで確認できる項目

MiniMaxのオープンプラットフォーム接続ドキュメントにはすでにこのモデルの項目が記載されており、以下の仕様が確認できる。

  • コンテキスト長は100万トークンで、長文ドキュメントやコードベース全体、複数ステップのエージェントセッションを想定している。
  • 出力速度は1秒あたり100トークン以上をうたう。
  • 入力はテキスト・画像・動画に対応する。
  • 「effort」パラメーターで推論の深さをlow・medium・high・xhigh・maxの5段階に調整でき、未指定時のデフォルトはmaxとなる。

明記されている制限が1つある。このモデルは推論をオフにできない。呼び出し時に推論を無効化しようとすると、APIはそのまま400エラーを返す仕様で、レイテンシーを下げたい場合はeffortを下げるようドキュメントは勧めている。接続方式についてはAnthropic互換とOpenAI互換の2種類のエンドポイントが用意されており、前者が推奨とされている。

公表されていない部分

今回の公開はかなり控えめだった。あるテック系メディアは、MiniMaxが正式な発表を行わず、モデルカードや評価レポート、価格も出していないと指摘している。サードパーティのランキングサイトBenchLMでは、9月27日時点でこのモデルのベンチマーク結果は0件だった。

同メディアはさらに、Hugging Face上に「MiniMax-M3.1-preview-private」という名前の非公開リポジトリが存在し、容量は約250GBで外部からダウンロードできないことにも触れている。これがFlashプレビュー版の重みなのか、今後M3のようにオープンソース化されるのかについて、MiniMaxはまだ回答していない。5段階のeffortそれぞれが消費する計算量やレイテンシーの差についても、ドキュメントに数値は示されていない。

M3とは異なるリリースのリズム

6月1日に公開されたM3は違うやり方を取っていた。オープンウェイト、100万トークンのコンテキスト、ネイティブなマルチモーダル対応を同時に出し、独自開発のスパースアテンション構造「MSA」と一式のコーディングベンチマークも添えていた。SWE-Bench Proは59.0%、Terminal-Bench 2.1は66.0%という数字を報告し、当時のMiniMaxは「手の届く価格の100万トークンコンテキスト」を主な売り文句に、数字を惜しみなく出していた。

M3.1-Flash-Previewが取っているのは、先に製品を出して資料は後回しにするやり方だ。まず有料ユーザーにMiniMax Codeで使ってもらいつつ、枠のリセットとチェックインキャンペーンでユーザーを呼び戻す。名前に含まれる「Flash」と「Preview」も、その位置づけを物語っている。片方は速度重視の軽量版、もう片方はまだ形が固まっていないことを示す。

こうしたリズムは最近、中国国内のコーディングモデルではよく見られる。小米(Xiaomi)のMiMo-V2.6はProとFlashに分かれ、Flashは効率重視の路線を取る。DeepSeek v4.1 Flashは海外のコーディングツールOpenCodeが配布する無料枠を通じて広がっており、Zhipu AIにもGLM-5.3-Flashがある。コーディングツールのユーザーは価格とレスポンス速度に最も敏感なため、軽量版を先に出してベンチマークを後から補う方が、実際の利用フィードバックを早く得られる。

中国国内の開発者がいまこのモデルを試すには、Token Planへの加入かMiniMax Codeの直接利用が必要になる。effortのデフォルトは最高段階のため、ちょっとしたバグ修正程度であれば手動で1〜2段階下げたほうがレスポンスは速くなり、利用枠も節約できる。M3と比べてどれだけ速いのか、コードの品質が落ちないのかは、MiniMax自身の評価結果かサードパーティのベンチマークが出るのを待つしかない。

参考資料:MiniMax公式SNSアカウント、MiniMaxオープンプラットフォーム接続ドキュメント、AlphaSignal、CocoLoop、BenchLM。コンテキスト長・effortの段階・接続時の制限はMiniMaxのドキュメントに基づいて確認した。M3のベンチマーク数値はメーカー発表による自己申告値。