Saline町は否決、それでもStargateは着工

4対1で否決され、2日後に開発会社が提訴し、数週間後には土地が掘り返された。ミシガン州Saline Townshipでこの8カ月に実際に起きたことだ。

OpenAIとOracleのStargate AIデータセンター計画は、160億ドル、2100万平方フィート、1.4ギガワットという規模で、最後まで反対した農村の町へ押し込まれた。

4対1で否決しても止まらなかった

始まりは2025年9月だった。開発会社Related Digitalは、OpenAIとOracle向けのStargateデータセンターを建てるため、Saline Townshipの土地の用途変更を求めた。5人の町議会は4人が反対、1人が賛成した。唯一の賛成票は町書記Kelly Marionのものだった。

しかし否決後の展開のほうが、投票そのものより重要だった。Related Digitalは2日以内に町政府を訴え、排他的ゾーニングを理由にした。数週間後、町と開発会社は和解した。

町の弁護士Fred Lucasは、町は「岩と硬い場所の間」にあると説明した。つまり、法的な選択肢はほとんど残っていなかったということだ。

和解で得られたのは、約1400万ドルの地域補償だった。そのうち400万ドルは1000エーカーの農地保全に使われ、残りは消防部門や環境プロジェクトに回る。Related Digitalは、2500人の組合建設雇用、450人の恒久雇用、1500人の波及雇用を約束した。

これは、訴訟を使って地域の民主的な投票を迂回する標準的な手順だった。元海兵隊員で5人の子どもの母親でもある住民Kathryn Haushalterは反対派の顔になったが、訴訟への介入や建設許可への異議申し立てはプロジェクトを止められなかった。

本当の影響は周辺自治体に出た

政治的な反応は、建設現場より速く広がった。

今年初めまでに、ミシガン州内の少なくとも19の自治体が、新しいデータセンター建設の一時停止令を通した。Salineの二の舞を避けたいという意図は明確だった。Washtenaw郡の委員らは3月、地方自治体のモラトリアムを支持する決議を可決した。州レベルでも、超党派の議員が1年間の州全体の建設停止法案を提出したが、Gretchen Whitmer知事とMatt Hall下院議長はいずれも反対した。

項目数字
投資額160億ドル、当初計画の70億ドルから拡大
敷地規模2100万平方フィート
電力需要1.4ギガワット
建設雇用2500人の組合雇用
恒久雇用450人
町議会の投票4対1で反対

1.4ギガワットとはどれほどか。おおよそ中規模都市1つ分の電力負荷に相当する。1つのキャンパスがミシガン州の電力網から大きな塊を引き抜くことになる。Related Digitalは閉ループ冷却を使い、水使用量はオフィスビル並みに抑えるとしている。ただ、地元の農家や住民が最も気にしているのは水だけではない。電力網、地価、地域の均衡も同じくらい大きい。

この脚本は繰り返される

Stargateは、OpenAI、Oracle、SoftBankが今年初めに発表した5000億ドル規模のAIインフラ計画だ。地方政府を訴えてゾーニングを押し通すというSalineの脚本は、他の州でも繰り返される可能性が高い。

TexasやPennsylvaniaなど、すでに大型データセンターがある地域では似た衝突が起き始めている。違いは、地元の電力網が先に耐えられるかどうかだけだ。

Salineの本当の意味はSalineだけにない。Salineのような小さな町に対し、160億ドルのプロジェクトを前にすれば4対1の投票はそれほど重くない、と示したことにある。

今後の焦点は、ミシガン州の近隣19自治体が防壁を作り始めたとき、OpenAIの次のデータセンターがどこへ押し出されるのかだ。

参考資料:A Michigan farm town voted down plans for a giant OpenAI-Oracle data center. Weeks later, construction began(Fortune)、After a $16 billion Stargate AI data center was built despite being voted down、CocoLoop、Michigan towns rush to block new buildouts(Tom's Hardware)、Related Digital Announces Financing for $16 Billion Oracle Data Center Project in Saline Township(Blackstone)