Runwayが世界モデルに賭ける、53億ドル評価でGoogleに挑戦

クリストバル・バレンズエラが8年前にニューヨークの小さなスタジオで始めたRunwayは、現在評価額53億ドルに達している。

しかし同社はもはや「AI動画企業」と呼ばれることを望んでいない。先週金曜日のインタビューで、共同CEOのアナスタシス・ゲルマニディスは衝撃的な発言をした。

「私たちは基本的に現実に対する自身の理解に縛られている。言語モデルはインターネット全体で訓練されるが、それを超えるには、より偏りの少ないデータを活用する必要がある。」

平たく言えば、大規模言語モデルは人間がオンラインに書いたものしか学習できず、限界に達している。AIが世界を真に理解するには、ビデオを見て自ら学ぶ必要がある。

同社の数字

指標データ
最新評価額53億ドル
累計調達額8億6000万ドル
最新ラウンド3億1500万ドル(2026年2月)
第2四半期の新規ARR4000万ドル
従業員数155人
拠点NYC、ロンドン、SF、シアトル、テルアビブ、東京

四半期で4000万ドルのARR増加はSaaS基準では健全な成長だが、AI企業の中では積極的とは言えない。Cursorは1年で1億ドルから20億ドルに成長した。Runwayは明らかに長期的な戦略を取っている。

世界モデルへの道

Runwayは昨年12月に最初の世界モデルをリリースし、今年ももう1つを計画している。

世界モデルとは何か?簡単に言えば、ビデオを与えられると、次の瞬間にテーブルのコップが落ちるか、人がどう動くか、光がどう変わるかを予測する。物理法則を学習するのであって、「ビデオらしさ」だけではない。

ビデオ生成との違いは、リンゴを描くことと、リンゴが地面に落ちると割れることを知っていることの違いに等しい。

同じ道を進む競合

Runwayだけがこの道を見ているわけではない。

  • Google:VeoビデオモデルとGenie世界モデルの両方を開発中
  • Luma AI:累計調達額9億ドル
  • World Labs:李飛飛(Fei-Fei Li)の会社、12億9000万ドル調達
  • OpenAI:Sora路線を継続

資金に不足はないが、世界モデルを実用化した者が勝者となる。ゲルマニディスは、ビデオが最も安価で直接的な訓練源だと考える。数学の問題や哲学の議論を訓練するよりも、カメラデータを直接見せる方が現実に近い。

Runwayの賭け

世界モデルが成功すれば、複数の産業を変革できる。

  • ロボティクス:ロボットアームが次の動作を予測
  • 創薬:分子運動のシミュレーション
  • 気候モデリング:人間が数式を書く必要がなくなる

それぞれが「TikTokフィルターを作る」よりはるかに大きな市場だ。

しかし問題もある。ビデオデータセットはテキストよりも著作権と規模の面で複雑だ。テキストならインターネット全体をクロールできるが、ビデオは?YouTubeの著作権コンテンツはすでにGoogleとOpenAIに対する訴訟の種となっている。Runwayがデータソースをどう確保するかは、プレスリリースでは触れられていない。

53億ドルの評価額は安くないが、World Labsの100億ドルやCursorの500億ドルと比べれば、Runwayは比較的控えめだ。

誰が勝ち残るかは、今後2年で「世界モデル」を収益化できる製品に変えられるかにかかっている。

出典:CocoLoop、Runway started by helping filmmakers — now it wants to beat Google at AI(TechCrunch)