リアルタイム世界モデル企業が5900万ドル調達、フレーム遅延ほぼゼロ

テキストから動画を生成する現在の体験は、一行入力して10分待ち、10秒の映像を得るというもの。Reactorはその待ち時間をなくそうとしている。

5月28日、同社はステルス状態から姿を現し、Lightspeedがリードし、KatzenbergのWndrCoも参加する5900万ドルのシリーズAラウンドを発表した。そう、ドリームワークスのKatzenbergだ。

通常のテキスト動画との違い

違いは「リアルタイム」という点にある。通常のテキスト動画はバッチ処理で、注文するとバックグラウンドでレンダリングされ、完了後に提供される。Reactorは別の道を進む。フレームを生成しながら出力し、長さに制限はなく、継続的にインタラクションできる。

創業者のAlberto Taiuti氏は「当社のプラットフォームでは、最初のフレームまでのレイテンシは実質ゼロです」と述べている。

これを支えるのが「世界モデル」だ。静的な動画を吐き出すだけのモデルとは異なり、世界モデルは知覚しながらリアルタイムで反応する。左に動けば、その場で左側のシーンを構築する。

聞き覚えがあるだろうか?先週、GoogleのGenieも同様のアプローチをとった。地図上のポイントをクリックすると、その場で世界を構築して歩き回れるようにする。違いは、Reactorは自らアプリケーションを作るのではなく、この機能をSDKとAPIとしてパッケージ化し、数行のコードで統合できるようにして、開発者に提供する点だ。

創業者たち

CEOのAlberto Taiuti氏とCTOのBryce Schmidtchen氏は、ともにApple Vision Proの技術責任者を務めた経歴を持つ。Taiuti氏にはさらに価値ある経歴がある。Luma AIの共同創業者兼CTOであり、同社の3Dおよび動画生成ツールは業界で広く使われている。つまり、リアルタイム生成の基盤を構築するのは初めてではない。

同社は昨年8月に設立され、サンフランシスコのサウスパークに拠点を置く。16人のチームメンバーは、Apple、Netflix、Meta、Google、Adobe、Replicate、Microsoftなどからの出身者で、いずれも経歴が際立っている。

コンピューティング面では、AWSを優先クラウドとしている。すでにこのプラットフォームを利用しているのは、OverworldというAIラボと、十数社のモデルチームだ。

なぜ投資家が今資金を投じるのか

方向性が変わったからだ。過去2年間は「誰がより鮮明で、より長く、よりリアルな動画を生成できるか」という静的なコンテンツの比較競争だった。Reactorは次のフェーズに賭けている。動画はもはや見るためだけではなく、その中に入り込んでインタラクションするためのものになる。

ゲーム、ロボティクス、そして「フィジカルAI」と呼ばれる分野には、リアルタイムで応答する映像エンジンが必要だ。誰が先に「リアルタイム」のハードルを越えるかが、これらのシナリオへの入り口を押さえる鍵となる。

Schmidtchen氏は同社を「モデルの世界と現実のアプリケーションの間の橋渡し」と位置づける。Katzenberg氏は投資後の評価として、このアプローチの新しさに「本当に衝撃を受けた」と述べている。

まだ課題も

ただし、冷や水を浴びせることもできる。Reactorは価格詳細を公開しておらず、実際のパフォーマンスは現時点では同社の主張を聞くしかない。

リアルタイム世界モデルの方向性は魅力的だが、「リアルタイム」と「品質」は通常トレードオフの関係にある。速ければ粗くなり、精細であれば遅くなる。Reactorは両方を追求すると言うが、その言葉が信頼に足るかどうかは、実際の製品が出てきて初めて判断できる。

同社は本日、SDKとAPIを公開した。使い勝手は、開発者がすぐに判断するだろう。

出典: Real-Time AI Video Startup Reactor, Founded by Ex-Apple Engineers, Raises $59 Million (Variety); CocoLoop; Reactor Emerges from Stealth with $59M to Build the Platform for Real-Time AI Worlds (PR Newswire)