興味深い数字がある。2025年初頭、DeepSeekとQwenを合わせた世界のAI市場シェアは1%未満だった。2026年1月には、その数字は15%に跳ね上がった。
わずか1年で、周辺プレイヤーから業界が無視できない位置にまで駆け上がった。その速さは驚異的だ。
舞台裏で何が起きたのか、整理してみよう。
DeepSeek V4:1兆パラメータの巨人
DeepSeek V4のフルバージョンはまだ正式公開されていない(4月初旬時点)が、様々な情報や技術的詳細はすでに明らかになっている。
主要スペック:総パラメータ数は約1兆、トークンあたりの活性化パラメータは約320億。Mixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャの古典的な手法で、純粋なDenseモデルよりもはるかに高い計算効率を実現する。
注目すべき点はいくつかある:
コンテキストウィンドウが100万トークンに拡大。 V3は128Kだったが、今回は8倍の飛躍で、コードベース全体や分厚い書籍1冊を一度に処理できる。ファイルをまたいだコード分析や超長文の契約書処理といったシナリオでは、この変化は本質的だ。
ネイティブマルチモーダル。 テキスト、画像、動画、音声を、追加のアダプテーションレイヤーなしで統一的に処理する。このアーキテクチャ設計は、後付けでマルチモーダル対応した方式よりもはるかにクリーンだ。
価格:入力トークン100万あたり0.14ドル。 GPT-5の約20分の1である。
ある事例が端的に示している。ある企業は毎日5万件の金融文書を処理しており、GPT-5では月額12,000ドルかかっていた。同等の精度でDeepSeek V4に切り替えたところ、わずか600ドルで済んだという。
Qwen 3.5/3.6:アリババのもう一枚のカード
DeepSeek V4が準備を進める一方、アリババは3月末から4月初めにかけて、複数の新しいQwenバージョンを相次いでリリースした。
Qwen3.5-Omniは4月1日に公開され、Qwen3.6-Plusは4月2日に正式発表された。約397億の活性化パラメータ、100万トークンのコンテキストウィンドウ、内蔵の推論チェーンを備える。
DeepSeek V4との主な違い:
| DeepSeek V4 | Qwen 3.6-Plus | |
| ライセンス | DeepSeek License(制限あり) | Apache 2.0 |
| 多言語対応 | 約50言語 | 201言語 |
| パラメータ規模 | 約1T総数/32B活性 | 397B総数/17B活性 |
| 企業導入コスト | 低い | より低い |
Apache 2.0は企業にとって実質的なメリットだ。ライセンスを法務チームにレビューさせる必要がなく、導入プロセスをそのまま進められる。
さらに、201言語対応は、海外展開や多地域ビジネスを行う企業にとって大きな魅力となる。
オープンソースのコストパフォーマンス論理は成立した
正直なところ、1年前に企業の意思決定者に「オープンソースモデルでGPT-4を置き換えましょう」と言えば、冒険だと見なされただろう。今、その会話は変わった。
いくつかの変化は現実のものだ:
能力の差は縮まっている。 コード生成、文書処理、データ分析といった標準的なタスクにおいて、DeepSeek V4とQwen 3.5の性能は、すでにクローズドソースのトップモデルとほぼ同等であり、特定の専門ベンチマークでは凌駕することさえある。
価格差は拡大している。 DeepSeek V4のAPI価格はGPT-5の約5%であり、QwenシリーズもSiliconFlowなどのプラットフォームを通じた価格設定は同程度だ。
導入性が向上した。 両モデルともローカルデプロイをサポートし、データの国外持ち出し禁止というコンプライアンス要件に対して、ようやく信頼できる選択肢が登場した。
もちろん、オープンソースは万能ではない。医療や法律などの高度に専門化されたタスクや、継続的な更新・保守が必要なシナリオでは、クローズドソースモデルの優位性は依然として残る。しかし、大多数の日常的なAIアプリケーションにとって、この計算は今や真剣に再評価する価値がある。
今後の変数
DeepSeek V4のフルバージョンがいつリリースされるかは、今年最も注目すべき発表の一つだ。
フルバージョンが期待通りの性能を達成し、その破格の価格設定と組み合わされば、GPT-5やClaude Opusシリーズへの圧力は直接的かつ強烈なものになるだろう。
Anthropicは先週、OpenClaw問題をめぐって開発者からの不満に直面していた。このタイミングでオープンソース陣営の競争力がさらに高まれば、そのタイミングは非常に興味深いものとなる。
参考元:CocoLoop、DeepSeek V4 and Qwen 3.5: Open-Source AI Is Rewriting the Rules in 2026(Particula Tech)、AI Updates Today (April 2026) – Latest AI Model Releases(llm-stats.com)