XPeng「IRON」、0.2秒ごとに再推論

XPeng(小鵬汽車)は10月22日、第2世代のVLA大規模モデルのアップグレードを完了し、ヒューマノイドロボットIRONにオンデバイスで搭載したと発表した。アップグレード後のIRONは、目の前の映像をもとに0.2秒ごとに推論をやり直し、同時にその後6秒間の動作の変化を予測する。

同社はこのアップグレードを次のように説明している。先月、第2世代VLAは「時間」を理解し始めた。今月はそれをIRONに載せ、「あなたの次の一手」を理解し始めた、というものだ。

相手が動きを変えたときの対応

公式デモは近距離のやり取りが中心だった。IRONは人と握手、グータッチ、ハイタッチができ、相手が急に動きを変えても追従する。差し出された手のひらが突然握りこぶしに変われば、グータッチに切り替える。ハイタッチの位置がずれれば、反対の手に替えて合わせる。

XPengの説明では、IRONは観察と判断、調整を絶えず続けており、一連の動作が終わるのを待ってから反応するわけではない。この種の場面の難しさについて、IT之家(ITHome)の記事は「人はロボットのペースで動いてくれない」と端的にまとめている。

従来の方式では、ロボットはまずジェスチャーを認識し、対応する一連の動作をまるごと呼び出して実行する。実行中は外部の変化にほぼ「盲目」だった。再推論の頻度が上がると動作は非常に短い断片に分割され、各断片を最新の映像に合わせて修正できる。

0.2秒と6秒という二つの数字

二つの数字を並べると、このシステムの拍動がおおよそ見えてくる。0.2秒ごとの再推論は1秒に5回。6秒の予測ウィンドウの間にモデルは約30回呼び出され、そのたびに数秒先の判断を更新し、その中から直近のごく短い区間を取り出して実行する。

予測ウィンドウが実行区間よりずっと長いことには利点がある。動作がぎくしゃくせず、ロボット自身がより長い動作の途中にいることを把握できる。一方で、推論は毎回0.2秒以内に終える必要があり、モデルの規模とオンデバイスの演算能力がこの制限に縛られる。XPengは、IRONに搭載した第2世代VLAのパラメータ数も、推論遅延の実測分布も公表していない。

人間と比べると、視覚刺激に対する単純反応時間は一般に0.2秒前後で、IRONの再推論間隔も同じオーダーにある。握手やハイタッチのような速度のゆるやかなやり取りには、ざっと見て十分だろう。飛んでくる物をはたく、投げられた物を受け止めるといったより速い動作に0.2秒の刻みが追いつけるかどうかは、今回のデモには登場していない。

オンデバイス搭載にも事情がある。推論はロボット本体で完結し、クラウドとの往復に依存しないため、ネットワークの揺らぎが反応を直接遅らせることはない。その代わり、モデルを機体内のチップに収めなければならない。

IRONのハードウェア

IRONは、XPengが2025年11月5日のテックデイで発表した。機体には人間に似た脊椎、バイオニック筋肉、全面を覆う柔軟な外皮を採用し、頭部は3D曲面ディスプレイ、両肩はバイオニック構造で、器用なハンドは22自由度を持つ。

演算部は、XPeng自社開発のTuring AIチップを3基搭載する。ソフトウェアはVLT、VLA、VLMの組み合わせで、会話、歩行、インタラクションを支える。第2世代VLAはXPengの同じフィジカルAI基盤上に構築されており、公式の説明では、先月まず「時間」の理解が加わり、今月になってIRONに載ったという。

量産スケジュール

XPengの計画では、2026年末にヒューマノイドロボットの量産を実現し、2027年上半期に納入を開始する。まずは店舗やショッピングモールなどの商業シーンに入り、その後、産業用や家庭用へ広げる。

同じ週には、Unitree(宇樹科技)がヒューマノイドH2-Xを発表し、公式には最長約8時間のバッテリー駆動をうたっている。中国国内のヒューマノイド発表のペースは依然として速い。各社のデモは日常のやり取りに近づいているが、量産後に実際の人混みの中で同じ反応速度を保てるかについて、XPengは屋外での試験データを一切公表していない。この点は、最初のロボットが店頭に並んでから初めて確認できる。

参考資料: XPeng公式発表、IT之家(ITHome)、CocoLoop。再推論間隔、予測ウィンドウ、量産・納入計画についてはXPengの発表内容で確認した。