Claude、200ドル帯でOpenAIの5倍の価値に

半導体・AI分野の調査機関SemiAnalysisは10月5日、サブスクリプションのクオータを実測したレポートを公開した。結論は明快で、月200ドルのティアでミドルレンジモデルによるエージェント型ワークロードを動かした場合、AnthropicのサブスクリプションはAPI価格に換算してOpenAIの5倍以上の価値を持つという。比較対象となったのはClaude Opus 5.5とGPT-6.1 Solの2モデルだ。

レポートの執筆者はAndrew Megalaa、Max Kan、Dylan Patelの3人。検証対象はAnthropic、OpenAI、Meta、SpaceXAI、MiniMax、Moonshot、Z.aiに加え、CursorとCognitionという2つのラッパー製品のサブスクリプションにも及んでいる。

クオータはどう測定したのか

両社ともサブスクリプションのクオータが何トークン分に相当するかは公開しておらず、使用率を示すパーセンテージのメーターと、5時間・7日間という2つのレート制限ウィンドウしか示されていない。SemiAnalysisが取った方法は逆算だ。入力、キャッシュ書き込み、キャッシュ読み込み、出力という4種類のトークンを個別に切り分け、それぞれがメーターをどれだけ動かすかを測定。2つのウィンドウの数値を月間で使えるトークン総量に変換し、最後に公式API単価でドルに換算した。

Implicatorの伝えるところによると、チームは有料アカウントに『戦争と平和』を少しずつ投入し、ランダムなタグで完全に新規の入力を作り、固定タグでキャッシュヒットを検証し、技術系の長文で長い出力を誘発するという手法を繰り返し、誤差がプラスマイナス5%以内に収まるまで測定を重ねたという。

両社はクオータを正反対の方向に調整していた

この検証はちょうど両社がそれぞれ調整を行っていた時期と重なった。

OpenAIは9月30日に月200ドルのPro新サブスクリプションを再開し、同時にAPI消費額に応じてクオータを換算する方式に変更した。Codex責任者のThibault Sottiaux氏は当時こう語っている。

"If you do the math, it will net out at half the dollar in API spend compared to the old Pro $200 plan."

(計算すると、換算されるAPI費用は旧200ドルPro版の半分になる。)

SemiAnalysisが引用した詳細によれば、CodexとWorkにおけるこのティアのクオータはPlusの20倍から10倍に下がり、さらに上に500ドルのPro版が新設された。レポートはOpenAIのやり方を、全ティアの上限を一律に削ったものと表現している。

一方のAnthropicは逆方向に動いた。Opus 5.5のAPI入出力単価を20%下げ、キャッシュ読み込みは60%下げる一方で、MaxティアのOpusクオータを約20%、Proティアを約50%引き上げた。レポートの分析によれば、Anthropicが利益を締める手段は全体的なクオータ削減ではなく、フラッグシップモデルFableのOpusに対する消費率を引き上げることだという。

そのため「5倍」という差は主にミドルレンジモデルのティアで現れる。フラッグシップティアになると、SemiAnalysisはFable 5.1とGPT-6 Astraのクオータ差はほとんどないとみている。

サブスクリプションのコストを粗く計算する

レポートはより示唆的な比率を示している。サブスクリプションはAnthropicの収益の約10%を占めるにすぎないが、推論用コンピュートの40%以上を消費している可能性があるという。

この2つの比率で粗い計算をすると、サブスクリプションがコンピュートを1単位使うごとに得られる収益は約0.25単位、API等の他事業がコンピュートを1単位使うごとに得られる収益は約1.5単位となり、両者の差は約6倍にもなる。これはあくまでレポートの比率に基づく簡易的な推計であり、キャッシュヒットやピーク・オフピークのスケジューリングなどは加味していない。Anthropic自身もこうした内部の数値を公表したことはない。

この差は2つのことを説明できる。OpenAIがユーザー離れのリスクを冒してもクオータを削る理由、そしてAnthropicがOpusのクオータを増やしつつFableの消費係数を上げた理由だ。Claude Codeを多用する開発者にとって、現状はサブスクリプションの方が従量課金よりかなり割安であり、この状態がいつまで続くかはAnthropicがどこまで補填を続ける気があるかにかかっている。

有料の壁の向こう側

レポートの公開部分は「サードパーティ製ラッパーのサブスクリプションは公式版に及ばない」という節で有料の壁に入ってしまい、CursorやDevinといった製品が具体的にどれほど劣るかという数字は公開版には出てこない。MiniMax、Moonshot、Z.aiなど中国系ベンダーのサブスクリプションがどう測定されたかについては各報道の内容が一致しておらず、ここでは引用しない。

付け加えておくと、この種の実測は使用率メーターの表示精度に依存しており、ベンダー側はバックエンドの計測方法をいつでも調整できる。AnthropicとOpenAIのどちらも、このレポートの結論に対して公式な反応を示していない。

参考資料:SemiAnalysisのサブスクリプションクオータ実測レポート、Techmeme、CocoLoop、AI Weekly、Implicator。「5倍」は200ドルティアにおけるOpus 5.5とGPT-6.1 SolのAPI等価価値を基準とし、コンピュートと収益の比率はSemiAnalysisの推計による。