ChatGPT Pro、月額と同額のAPIクレジットを毎月付与

Consumer AI illustration: a person on a bench with chat bubbles around the phone

OpenAIが開発者向けドキュメントで新たな特典を公開した。条件を満たすChatGPT ProおよびBusinessの契約者は、毎月一定額のAPIクレジットを、自分が所有するAPI組織に受け取れる。クレジットはサブスクリプションの更新に合わせて自動で付与され、別途の申請は不要だ。

Proはプランの金額と同額が付与される。月額100ドルのProは毎月100ドル、200ドルのプランは200ドル、500ドルのプランは500ドルだ。Businessは有料シート数に応じて計算され、Standardシートは1席20ドル、Premiumシートは1席100ドル。ワークスペース全体で月500ドルが上限となる。ChatGPT Enterpriseは対象外だ。

受け取りの条件

ドキュメントに記された条件はかなり細かい。サブスクリプションは有料で、有効化から7日以上が経過している必要があり、無料トライアルやギフトによる契約は対象にならない。受け取る本人は、ChatGPTの契約(またはBusinessワークスペース)の所有者であり、同時にクレジットを受けるAPI組織の所有者でもなければならない。両方のアカウントは同じメールアドレスで登録されている必要がある。

有効化の入口は二つあり、結果は同じだ。ChatGPTの設定からBillingを開いて紐づけるAPI組織を選ぶか、逆にAPI PlatformのBillingページで組織を選び、サブスクリプションを関連づける。Businessの管理者は、ワークスペースの課金設定またはAdmin Consoleで操作する。

初回のクレジットは、現在の請求サイクルの残り日数で日割り計算される。使い切れなかった分は請求サイクルの終了時に失効し、繰り越されない。契約を解約しても、すでに付与されたクレジットは回収されず、失効まで使える。以降は付与されなくなるだけだ。PlusやGo、無料版にダウングレードすると、紐づけはサイクル末で解除される。ProからBusinessに切り替えた場合、Proの紐づけはその時点で終了し、Businessの支払いから7日が経過するまで再び紐づけることはできない。

年払いのBusinessワークスペースは、1年分のクレジットを一括で受け取り、年間の請求サイクルが終わると失効する。サイクルの途中でシートを追加したりシートの種類を上げたりした場合は、残り期間に応じて追加付与されるが、月払いは500ドル、年払いは6000ドルが上限となる。

使える範囲と使えない範囲

クレジットは、Responses、Agents、Realtime、ImagesなどのAPI呼び出しに充当できる。web search、file search、Code Interpreterといった組み込みツールの利用料やストレージ料金も対象に含まれる。ドキュメントには対象モデルの一覧はなく、これまでどおり組織のレート制限とモデル制限に従うとだけ書かれている。

重要な制限は三つある。クレジットは紐づけられたAPI組織の中でしか使えず、リクエストにはその組織のプロジェクトAPIキーを使う必要がある。APIキー経由でのCodexの呼び出しは非対応だ。また、このクレジットによってChatGPTやログイン状態のCodex自体の利用上限が上がることはない。クレジットを使い切り、組織に自己購入の残高もない場合、リクエストはHTTP 429とエラーコードcredit_balance_exhaustedで返される。別途クレジットを購入している場合は、無料分から先に消費され、その後に自己購入分が引かれる。

この特典がいつから始まり、いつまで続くのかはドキュメントに記載がない。地域による制限にも触れられていない。

ざっくり試算

Proユーザーにとっては、月額の半分が開発者アカウントに戻ってくるに等しい。200ドルのプランなら、これまではChatGPTでの大きな利用枠とCodexの利用量が得られるだけだったが、今後は毎月200ドルのAPI残高が加わる。ただし、実際にプログラムからAPIを呼び出す用途があることが前提だ。

Businessは人数次第で計算が変わる。Standardシート1席20ドルで単純計算すると、有料シート25席でワークスペースの上限500ドルに達し、それ以上人を増やしてもクレジットは増えない。すべてPremiumシートなら5席で上限だ。数十人以上のチームにとっては、本番のトラフィックを支える額というより、接続を担当するエンジニアのための試験用予算という位置づけになりそうだ。

繰り越しなしという点も使い方に影響する。クレジットは毎月リセットされるため、プロトタイプの作成、評価、社内向けの小さなツールの稼働には向くが、月末の突発的な呼び出しに備えて貯めておくことはできない。

サブスクリプションとAPIがつながり始めた

これまでChatGPTのサブスクリプションとAPIの課金は別々の帳簿で、プログラムを書きたい契約者は別にAPIアカウントを開設してチャージする必要があった。今回の仕組みは、同じメールアドレス、同じ所有者という条件で両者のアカウントを結びつけ、サブスクリプション料金の一部をAPI Platformで使える残高に変える。ドキュメントの書き方を見る限り、OpenAIはこのクレジットとCodexを意図的に切り離している。サブスクリプション内のCodexの利用量は独自の枠で管理され、APIクレジットは開発者自身が書いた呼び出しだけを対象とする。

中国の開発者にとって、この特典自体はAPIが利用できる地域を変えるものではなく、引き続きOpenAIが対応する国と地域に従う。ドキュメントには特定の市場向けの規定もない。

参考資料:OpenAI開発者ドキュメント(ChatGPT API creditsの説明ページ)、CocoLoop。Proの3段階のクレジット額、Businessのシート単価、ワークスペースの月500ドル・年6000ドルの上限を確認した。