軍事AI企業Shield AIが20億ドル調達、評価額は1年で倍増

今年3月末、多くの人が聞いたことのない企業が、テクノロジー業界最大級の資金調達の一つを完了した。

OpenAIでもAnthropicでもなく、ましてやチャットボットを手がける企業でもない。

それはShield AIだ。2015年にサンディエゴで創業された軍事AI企業で、中核製品は、GPSも通信も人間の介入もなしにドローンが自律的に作戦行動をとることを可能にするソフトウェアである。

資金の出所と構造

3月26日、Shield AIはシリーズGラウンドの完了を発表した。

  • 15億ドルのシリーズG:Advent Internationalが主導(Adventは今年初めに10億ドル規模の防衛技術専門ファンドを発表)、JPモルガン・チェースのセキュリティ・レジリエンス投資グループが共同主導。
  • 5億ドルの優先株:ブラックストーンが管理するファンドからの非希薄化型資金。
  • さらに2億5000万ドルの与信枠

これら3つの要素を合わせると、約20億ドルの資本が流入したことになる。

評価額の変動:2025年3月の56億ドルから2026年3月の127億ドルへ。増加率は140%で、1年で2倍以上になった。

共同創業者のBrandon Tseng氏は次のように述べている。「世界各国が軍の近代化を進めており、米国は国防費の増加を推進しています。当社の事業はほぼすべての紛争地域をカバーしています」。誇張ではなく、客観的な背景を述べたに過ぎない。

Hivemindの機能

Shield AIの中核製品はHivemindと呼ばれる、ドローン向けの自律飛行ソフトウェアプラットフォームである。

従来の軍用ドローンは遠隔操縦者や衛星通信に大きく依存しており、電子戦環境では妨害や破壊に対して非常に脆弱だった。Hivemindが解決するのは、すべての通信が遮断された後でも、ドローンが自ら判断し任務を完遂できるかどうかという問題である。

これはデモビデオの中だけの技術ではない。Shield AIのV-BAT偵察ドローンは現在、ウクライナの戦場で実際に配備・運用されており、同社にとって最も重要な実戦での裏付けとなっている。

次に控えるのはX-BAT戦闘ドローンで、2026年末までに初飛行が予定されている。

米空軍のCCAプログラム

今回の資金調達のきっかけの一つは、2026年2月に発生した。米空軍がCCA(Collaborative Combat Aircraft)プログラムにおいて、Hivemindを任務自律型ソフトウェアの供給業者の一つに選定したのである。

CCAは米空軍の次世代有人・無人協同戦闘システムである。有人戦闘機が複数の自律型無人僚機を率いて編隊飛行と戦闘を行う。Shield AIのHivemindは、AndurilのLatticeシステムと並行して動作し、AndurilのFury自律戦闘機に飛行自律機能を提供する。

両社が同時に選定されたことは、一見すると決着がつかなかったように見える。しかし、別の見方をすれば、空軍が単一ベンダーへのロックインを避けるために積極的に複数供給業者戦略を選択したということだ。これは米国の防衛調達では一般的な手法である。

Aechelon買収:シミュレーションのギャップを埋める

調達資金の一部は、軍事飛行シミュレーションソフトウェアを専門とするAechelon Technologyの買収に充てられる。Aechelonのプラットフォームは、国防総省の「統合シミュレーション環境(JSE)」の中核コンポーネントであり、パイロットの訓練、自律システムのテスト、F-35から自律型ドローンに至るまで複数の主要な国防プラットフォームを支えている。

その論理は単純明快だ。Hivemindは継続的な改良のために膨大なシミュレーションデータを必要としており、Aechelonのシミュレーションプラットフォームがそのギャップを正確に埋める。買収後、AechelonのCEOであるNacho Sanz-Pastor氏はその地位に留まり、プラットフォームは外部顧客に対しても引き続き開放される。

収益と成長

Shield AIは、2026年通年の収益が5億4000万ドルを超えると予測しており、前年比80%以上の成長を見込んでいる。この数字にはAechelonの収益は含まれていない。Brandon Tseng氏は「成長が鈍化するとは予想していません」と述べている。

この成長率は、現在の地政学的状況を考えれば説明は難しくない。ウクライナ紛争、中東情勢、アジア太平洋地域の動向により、主要各国は国防予算を自律型兵器にシフトさせている。Shield AIは、米国防総省の枠組みの中で、この流れの主要な受益者の一社である。

127億ドルの評価額は、パワーポイントのスライドによって築かれたものではない。実戦配備と政府契約によって、一歩一歩支えられてきたものだ。防衛AIという分野は、「SFのコンセプト」から実際の調達注文へと移行しつつある。

出典:Defense startup Shield AI lands $12.7B valuation, up 140%, CocoLoop、 after US Air Force deal(TechCrunch);Shield AI projecting more than $540M in revenue this year as valuation more than doubles to $12.7 billion(Fortune);Defense Startup Shield AI Nabs $2 Billion at $12.7 Billion Value(Bloomberg)