独Sereact、1.1億ドル調達—世界モデルをロボットの頭脳に搭載

ドイツのロボティクス企業Sereactは日曜日、1億1000万ドルのシリーズB資金調達を完了したと発表した。主に米国市場への進出と、同社が「ロボットの頭脳」と呼ぶCortex 2.0の生産拡大に充てられる。

ヒューマノイドロボットを手がける企業ではない。既存の産業用ロボットアームに「認知層」を組み込むのが同社のアプローチだ。顧客リストにはBMW、ダイムラートラック、メルセデス・ベンツ、PepsiCo、Active Ants、オーストリア郵便が名を連ねる。

Cortex 2.0とは何か

簡単に言えば、視覚-言語-動作モデル(VLA)と世界モデルを組み合わせ、ロボットアームが自らタスクを理解し動作を計画できるようにするものだ。エンジニアが箱の種類ごとに把持スクリプトを書く必要はなくなる。

しかしSereactがデモだけの企業と異なるのは訓練データにある。Cortex 2.0は10億回以上の実生産環境での「ピック」データで訓練されている。シミュレーションでもラボデータでもなく、工場のロボットアームが実際の作業で蓄積したピックデータだ。

CEOのRalf Gulde氏は率直に語る。

「データのフライホイールでモデルを育てる必要がある。モデルを生産ラインに投入し、失敗を共に経験させ、現場で実際に起きることから学ばせるのだ。」

言い換えれば、ラボでのデモがどれだけ美しくても、BMWの倉庫で1日8時間、1回の障害で数千ドルの損失が発生するプレッシャーの下でロボットを動かして初めて、モデルは本当に仕事を覚えるのだ。

注目すべき数字

Sereactは現在200システムを稼働させている。

平均して5万3000回のピックに1回だけ人間の介入が必要だ。

典型的な物流ロボットは1日あたり約2000~5000回ピックする。5万3000回ということは、このロボットは10日以上連続で人間の介入なしに稼働できる計算になる。倉庫自動化業界ではトップレベルの数字だ。

比較すると、多くの倉庫自動化スタートアップは「連続100回の把持成功」をデモ動画で売りにしている段階である。

なぜドイツで、なぜ今か

ドイツおよび欧州は物流自動化に強い(KUKA、ABBなどの老舗大手がいる)が、VLAや世界モデルといった最新のAI技術を適用する企業は多くない。Sereactはシリコンバレー流のファンデーションモデル思考を欧州の倉庫に持ち込んだ数少ない企業だ。

今回の資金調達で重点を置くのは米国市場だ。アマゾンやウォルマートの倉庫が存在しており、大手顧客を1~2社獲得できれば評価額はすぐに倍増する。

より深い論理:物理AIは「デモが動くか」から「生産ラインに投入できるか」の段階に移行している。前期はモデルアーキテクチャと論文のベンチマーク競争だったが、後期はフライホイール競争だ。実際の工場で多くのロボットが動けば動くほどデータが蓄積され、次世代モデルが強くなる。

Sereactはこのデータフライホイール競争で既に有利な位置を確保している。

今後の注目点

今回のラウンドでは評価額は非開示。しかし競合を参考にすると、Robot EraはシリーズCで2億ドル超を調達し評価額15億ドル、Figure AIはすでに390億ドルを超えている。Sereactの1億1000万ドルのシリーズBも、10億ドル前後のユニコーン基準に達している可能性が高い。

今後12~18カ月の注目点:

  • 米国の倉庫顧客をゼロから3~5社獲得できるか
  • 5万3000回に1回の介入率をさらに1桁改善できるか
  • VLA+世界モデルのアプローチと、Figureのエンドツーエンドニューラルネットワーク、どちらが有効か

物理AIの分野では2026年、昨年をはるかに上回る資金が投じられている。Sereactの1億1000万ドルはその入場券にすぎない。

出典:Sereact Raises $110 Million to Scale AI Robotic Brain(PYMNTS);CocoLoop;Sereact $110M Series B announcement(企業発表)