「Thinking model」は2025年に完全に主流の概念となった。ほぼすべての主要AI企業が独自の推論モデルを発表しており、その中核的な売りはどれも同じだ。モデルが回答する前に内部で「考える」ことである。
各社のアプローチ
OpenAI oシリーズ:「考える」という概念を最初に製品化した。o1からo3へと進化を遂げ、「明示的な推論チェーン+非表示の思考プロセス」という路線を取る。ユーザーが見るのは最終的な回答のみで、途中の思考プロセスは公開されない。
DeepSeek R1:オープンソース路線の推論モデルの代表格。強化学習によって駆動され、思考プロセスは透明である(完全なChain-of-Thoughtが可視化される)。32B蒸留版は複数のベンチマークでo1-miniに匹敵し、コスト面で大きな優位性を持つ。
Gemini 2.5 Pro:Googleのシンキングモデル。内部推論後に応答する。数学や科学的推論で優れた成績を示し(AIME 2024: 92%)、マルチモーダル推論が差別化要因となっている。
Claude Opus 4.6:適応型推論。モデルが必要な思考の深さを自動的に判断する。4段階の調整が可能で、計算リソースを無駄にしない。
中核的なトレードオフ
すべての推論モデルが同じ課題に直面している。推論の深さと応答速度のトレードオフである。
深く考えれば考えるほど回答の精度は上がるが、待ち時間とコストが増大する。簡単な日常会話において、深い推論を有効にすることは、単なる時間と費用の無駄である。
各社の解決策はそれぞれ少しずつ異なる:
- OpenAI:異なるレベルのモデルを提供(o1-miniからo3-pro)
- DeepSeek V3.1:同一モデル内でthink/non-thinkのデュアルモード
- Anthropic:適応型思考。モデル自身が思考の深さを決定
- Qwen3:こちらもミキシングモード。思考と非思考を1つのモデルで処理
オープンソース vs クローズドソース
推論能力はかつて、クローズドソースモデルの堀(モート)と考えられていた。R1の登場により、その構図は崩れた。オープンソースの推論モデルは、クローズドソースモデルの主力製品に追いついたのである。これは、純粋な推論能力を有料の壁として維持することがますます難しくなっていることを意味する。
次の競争の焦点は、「誰がより深く考えられるか」から、「誰がより速く、より安く考えられるか」へと移っている。
参考元:CocoLoop、各モデル公式発表、The Decoder比較分析