OpenAIはChatGPTギフトカードを発売した。額面は15ドルから250ドルで、現在は米国の指定小売店でデジタルカードとして販売されている。どの小売店が扱うか、デジタルカードか実物カードか、発売時期や選べる額面は、それぞれの小売店の判断に委ねられる。
利用には明確な条件がある。カードは米国のアカウントに登録し、米ドルで決済し、一度に全額を利用しなければならず、分割利用はできない。残高がアカウントのウォレットに入ると、ChatGPTウェブ版でのサブスクリプション購入、アップグレード、更新、クレジット購入に充てられる。
制限事項は明確に書かれている。
- 残高でApple App StoreやGoogle Playの請求を支払うことはできない
- 残高をギフトカードに払い戻したり、他の支払い手段に換金したりすることはできない
- 残高を別のアカウントに移すことはできない
- 未利用カードにトラブルがあった場合は、OpenAIではなく販売した小売店に問い合わせる
最も重いのは「ウェブ版限定」という条項
4つの制限のうち、最も重いのは1つ目だ。AppleとGoogleはアプリ内課金に対して一般的に15%から30%の手数料を取っており、ユーザーがiOSで更新ボタンを押すたびに、その代金はまずストアを経由する。ギフトカードの残高はウェブ版でしか使えないため、決済行為をアプリの外に連れ出す形になる。
ユーザーにとっては余計なルールが一つ増えるだけだが、OpenAIにとってはサブスクリプション1件ごとに2~3割の粗利益を余分に確保できることになる。わざわざ店頭でカードを買う人の多くは、贈り物にするか、カードを登録したくない層であり、同時にウェブ決済へ誘導しやすい層でもある。
プリペイドカードが受け止めるのは「支払えない人」
サブスクリプション型サービスの決済段階には、クレジットカードを持たない学生、カードの登録を避けたい人、子どもに使える上限を設定したい保護者など、これまでも一定数のユーザーが取り残されてきた。プリペイドカードはこうした層を取り込むと同時に、チャージした分しか使えないという上限を自然に備えている。月末に予想外の請求が来ることもない。
一度に全額を使い切り、分割利用を認めないという設計も無作為ではない。残高を単一のアカウントに固定することで、カード番号を分割して二次流通市場で転売する抜け道を塞いでいる。この抜け道こそ、長年プリペイドカード詐欺を生き永らえさせてきたものだ。代償は柔軟性で、250ドルのカードを買えば、その全額を一つのアカウントに一括で背負うことになる。
払い戻し不可という条件は、副次的にキャッシュフローの問題も解決する。代金は小売店のレジで即座に入金される一方、実際のサービス提供は数カ月後になる。この間の資金の滞留は、小売流通が長年頼ってきた古い仕組みであり、今回棚に並んだ商品がゲームのポイントカードから大規模言語モデルの利用枠に変わっただけだ。
3つの条件はすべて米国内に限定
米国のアカウント、米ドル決済、米国の小売店という3つの条件は、現時点ですべて固定されている。海外のユーザーは、誰かに頼んでカードを買ってもらったとしても利用登録できない。ChatGPTの有料ユーザーのうち米国外の比率は決して低くなく、この仕組みを海外に広げるには、各地域のプリペイドカードに関する規制、為替処理、返金規定を避けて通れないため、短期間で一気に展開するのは難しそうだ。
ギフトカード自体は複雑な商品ではない。目を引くのは、モデルを作る企業が、お金がどう入ってくるかという問題に本腰を入れ始めた点だ。棚、販路、決済の経路といった、パラメータ数とはまったく関係のない要素が、OpenAIの製品リストに並び始めている。
参考資料:OpenAIヘルプセンターのギフトカード説明ページ、CocoLoop。額面の範囲、利用条件、4つの制限事項は公式説明ページの記述に基づき、アプリストアの手数料率は公開されている一般的な料率。