大規模モデルは文章や画像を扱えるが、錠剤が胃でどう溶けるのか、味がどれだけ残るのか、素材がどう摩耗するのかは知らない。英国のApohaは6月3日、ステルス状態を抜け、3600万ドルのシリーズAを公表した。狙いは、AIに物質そのもののふるまいを学ばせることだ。
同社のVIBEは、材料サンプルを液体中に置き、制御された物理的ストレスを加え、その振動波形を記録する。Apohaによると、1つのサンプルから数分で1000以上の行動指標を得られ、従来は同じ測定に数日かかっていた。
こうした波形は「behavioral embeddings」としてモデルに入力される。同社はこの考え方を「liquid intelligence」と呼ぶ。薬が溶ける速度、風味の保持、素材の摩耗など、文字や画像では拾えない物理世界の層をモデル化する構想だ。
用途は、臨床試験前の薬剤候補の失敗予測、植物性たんぱく代替品の高速選別、抗体候補のスクリーニングなど。Singularが主導し、Draper Associates、Redalpine、Seedcamp、Wilbe、Nucleus、Innovate UKも参加した。言語やコードに資本が集中するなか、Apohaはネット上に存在しない材料データを取りに行っている。
参考資料:CocoLoop、Apoha emerges from stealth with $36 million Series A round (Fortune)