NextEra、Dominionを670億ドルで買収へ

5月18日、NextEra EnergyはDominion Energyを670億ドルの全株式交換で買収すると発表した。米国公益事業史上最大のM&Aであり、1999年のExxonによるMobil買収(800億ドル)以来、エネルギー分野で最大の合併となる。

しかし、この案件の真の注目点は規模ではなく、Dominionが握る資産にある。

Dominionの要:北バージニア

Dominionは世界で最もデータセンターが密集する北バージニアを管轄する。Microsoft、Google、Amazon、MetaのAIトレーニング負荷のかなりの部分がDominionの電力網に依存しており、需要は年々高まっている。

NextEraのCEO、John Ketchum氏は次のように述べた:

「我が国は転換点にある。電力需要はここ数世代で見たことのない急増を見せている。」

数字で見る取引

  • 総額:670億ドル(全株式)
  • Dominion株主へのプレミアム:23%(5月15日の時価総額543億ドルベース)
  • NextEra株主の合併後保有比率:74.5%
  • Dominion株主の保有比率:25.5%
  • 合併後の企業価値:4200億ドル
  • 顧客数:約1000万
  • カバー州数:44州
  • 建設中プロジェクト:130GW(1億世帯分)
  • 年間設備投資:590億ドル
  • 完了見込み:2027年

合併後の新会社は世界最大の公益事業者となり、米国エネルギー企業では時価総額でExxonMobil、Chevronに次ぐ第3位となる。本社はフロリダ州ジュノビーチとバージニア州リッチモンドの2拠点。Ketchum氏がCEOを続け、DominionのRobert Blue氏が規制部門を統括する。

AIとの関連

NextEraは既にハイパースケーラー向けに電力を供給している。Googleのアイオワ州Duane Arnold原子力発電所の再稼働、Metaのテキサス州とニューメキシコ州での2.5GWの太陽光+蓄電プロジェクト、テキサス州とペンシルベニア州での約10GWのプロジェクト(日本企業との貿易協定下)など。ハイパースケーラーは24時間365日安定した電力を要求するため、原子力、大規模太陽光+蓄電、または天然ガスによるバックアップが必要。NextEraはこれら全てを備え、Dominionの買収により米国第2位の原子力事業者となる。

批判の声

規制当局、消費者団体、環境保護団体が監視を強めている。Common Dreamsはこの合併を「馬鹿げている」と非難し、公益事業者が「計算力の地主」と化し、家庭用電気料金を圧迫する恐れを指摘。規制承認が最大の不確定要素であり、エネルギー分野の反トラスト法はITより厳しく、6州の公益事業委員会が拒否権を持つ。2027年の完了は楽観的見通しだ。

真の意味

公益事業は長年、債券のような安定配当銘柄と見なされてきた。今回の取引はその常識を覆す。AI時代において、電力は新たな石油だ。発電、送電、変電、配電を掌握する者がAIサプライチェーンの上流を押さえる。NextEraが670億ドルを投じて買ったのは1000万世帯ではなく、北バージニアの送電網の支配権だ。さらなる大型エネルギーM&Aが続く可能性が高い。

出典:NextEra Energy to buy Dominion in deal that unites two key players in race to power AI data centers (CNBC);CocoLoop、NextEra's $67 billion Dominion takeover creates world's largest utility (Fortune);Amid Fury Over AI Data Centers, Watchdogs Denounce 'Absurd' $67 Billion NextEra-Dominion Merger (Common Dreams)