Moonshot AIは、10月24日の発表時に約束していたとおり、Kimi K3.1 Proのモデルの重みをHugging Faceで公開した。ITホーム(IT之家)が11月5日に伝えた。総パラメータ数は2.8兆、1回の推論で活性化するのは約1040億、コンテキスト長は約100万トークンとされる。
重みファイルのサイズも目を引く。BF16版は約5.6TB、INT4に量子化した版でも約1.4TBある。
注目すべきはライセンス条件だ。公開情報によると、前世代のK3は修正版MITライセンスを採用していた。K3.1 Proの条件は公式ページでまだ確認できておらず、商用利用を考えている読者はリポジトリ内のLICENSEファイルを基準にしてほしい。
実際のセッションで採点するリーダーボード
重みの公開と合わせて引用されている成績は、ArenaのAgent Arenaリーダーボードによるものだ。K3.1 Proはオープンウェイトモデルの中で1位、評価対象の全モデルでは13位。仕事、コーディング、チャットの3カテゴリすべてでオープンモデル首位となった。
このリーダーボードは、ペアでの盲検投票を行わない。実際のエージェントセッションから、タスクの確認、称賛と苦情、ユーザーによる修正、シェルのエラーといったシグナルを抽出し、「因果トレーシング」というランダム化推論の手法で純改善率を推定する。今回の評価は1万7500件を超える長期タスクのセッションが対象だった。
| 指標 | K3 | K3.1 Pro |
|---|---|---|
| 純改善率 | +0.9% | +5.1% |
| Bash信頼性 | -4.5% | +7.9% |
| 称賛対苦情 | +1.3% | +7.7% |
Bash信頼性はマイナスからプラスに転じ、オープンモデルの首位にも立った。長時間のタスクを走らせるユーザーにとって、これが最も直接的に効いてくる。コマンドが連続して失敗するエージェントには、安心して作業を任せられない。一方、タスク確認の成功率は+3.9%でオープンモデル中4位にとどまり、全項目で先頭というわけではない。
クローズドの2大フラッグシップと比較
Moonshot AIが公表した比較表には社内テストを含む数十のベンチマークが載っている。以下では公開ベンチマークだけを抜き出した。
| ベンチマーク | K3.1 Pro | GPT-6 Astra | Opus 5.5 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 4.0 | 65.7 | 58.2 | 66.4 |
| SWE Marathon v1.1 | 51.7 | 42.5 | 46.3 |
| Frontier Finance | 58.6 | 45.0 | 56.7 |
| HLE-Full(ツールあり) | 70.0 | 57.2 | 67.7 |
| Program Bench | 31.5 | 50.0 | 65.0 |
| Terminal-Bench-Science 0.1 | 38.1 | 68.1 | 63.3 |
| HLE-Diamond | 39.4 | 65.8 | 60.9 |
| ExploitBench | 74.7 | 100 | 91.0 |
上位に並ぶのは、ツールを使う長いワークフローのタスクが中心だ。遅れが目立つのは、科学タスク、高難度の推論、そしてサイバー攻撃・防御の分野である。Terminal-Bench 4.0ではOpus 5.5との差は0.7点にすぎないが、同ベンチマークの科学版では差が25点以上に開く。この表はベンダーが公表したもので、一部のスコアは第三者による再現がまだ行われていない。
攻撃・防御の項目は単独で見る価値がある。オープンウェイトのモデルは、一度ダウンロードされれば回収できない。ExploitBenchの74.7点とExploitGymの20.7点は、クローズドのフラッグシップとはまだ距離があり、オープン公開をめぐる安全性の議論では一つの目安になる。
ダウンロードできることと動かせることは別
ITホームは報道の中で、「ダウンロード可能」と「ローカルで実行可能」の間には大きな隔たりがあり、一般的なコンシューマー向けGPUではほぼ展開できない、とわざわざ注意を促している。
ざっと計算してみよう。1.4TBのINT4版をすべてGPUメモリに載せるなら、1枚80GBとして約18枚のデータセンター向けGPUが必要になる。コンテキストキャッシュの分は含まれていない。MoEアーキテクチャのため一度に活性化するのは約1040億パラメータだけで、一部のフルアテンション層はゲート付きスパースアテンションに置き換えられ、長いコンテキストのコストを抑えている。それでも、重みを置く場所は必要だ。
このため中国の多くのチームにとって、今回の重み公開による直接の恩恵は、自前でデプロイして価格も自分で決められる一部のクラウド事業者や推論サービス事業者に集まる。一般の開発者が実感しやすい変化は、呼び出せる窓口が増えることだろう。それで価格が下がるかどうかは、サードパーティのホスティング版が登場してから比べることになる。
参考資料:ITホーム、CocoLoop、Arena Agent Arenaリーダーボード。ベンチマークのスコアはMoonshot AIが公表した比較表によるもの、必要メモリ量は当サイトによる試算。