Cloudflareは11月4日、個人エージェントのトラフィックを対象にした分析・制御機能を公開した。サイト運営者は管理画面で、ユーザーに代わって価格比較や調べもの、注文を行うエージェントを個別に確認でき、それぞれにアクセス方針を設定できる。
この種のトラフィックはこれまで扱いにくかった。エージェントの背後には実際のユーザーがいるため、すべて遮断すれば顧客を失いかねず、すべて通せば何をしているのか把握できない。Cloudflareは今回、まずエージェントを他の自動化トラフィックから切り分け、アクセスのルールはサイト運営者に委ねるという考え方を取った。
“Better visibility into agent activity allows you to decide what access makes sense for your site.”
(エージェントの動きがより見えるようになれば、自分のサイトにどんなアクセスを認めるべきか判断できる。)
管理画面に加わったもの
分析。Security AnalyticsのBot Analysisグラフに、新たにPersonal Assistantsというカテゴリが加わった。Verified Bot、Likely Human、Likely Automated、Automatedと並ぶ区分だ。Top statisticsにも新しいコンポーネントが追加され、サイトを訪れたエージェントとリクエスト数が一覧表示される。特定のエージェントで絞り込むと、他のコンポーネントも連動し、そのエージェントが要求したパス、返されたステータスコード、接続元ネットワークが表示される。
アカウント層。Account Abuse Protectionを有効にしているサイトでは、エージェントがどのユーザーの代理で動いているかも確認できる。ログインや新規登録のイベントには、個人エージェントが起点かどうか、どのエージェントかが記録され、不正対策チームはエージェントのイベントや件数でアカウントを絞り込める。攻撃者がエージェント経由でアカウントを乗っ取った場合は、Hashed User IDを条件にWAFルールを書けば、そのアカウントだけを処理でき、同じエージェントを使う他のユーザーには影響しない。この機能はまだ早期アクセス段階にある。
ポリシー。従来のAIボット向けポリシーはSearch、Training、Agentsの3区分だった。今回、Agentsの対象が対応済みの個人エージェントにまで広がり、設定項目名はAI Crawler and Agent access policiesに変わった。各エージェントには3つの選択肢がある。
- Allow:ブロックしない
- Block on pages with ads:広告を含むページでのみブロックする
- Block:全面的にブロックする
SearchとTrainingの2区分のポリシーは変更されていない。新規サイトの導入時には、広告収入で運営しているかをセットアップの手順で尋ね、それに応じた方針を推奨する。
この機能の狙いは2番目の選択肢によく表れている。エージェントが人の代わりにページを読んでも広告は誰にも見られず、広告収入に頼るサイトは表示回数による収益を失う。一方、同じエージェントが商品ページで注文を代行してくれるなら、サイトにとっては歓迎すべきことだ。ページの種類で遮断するほうが、身元だけで一律に判断するより、運営者の実情に合う。
ブログに書かれていないこと
記事には対応エージェントの一覧がなく、具体的な選択肢は管理画面で確認するよう案内しているだけだ。これらの機能がどのプランで使えるのか、識別されなかったエージェントがどのカテゴリに入るのかも書かれていない。識別の根拠についても、Cloudflareが最大規模の検証済みボットのディレクトリを管理しているとあるだけで、エージェントがそこに登録されるために何をすべきかは説明されていない。
これらは効果に直結する。身元を明かさないエージェントが通常のトラフィックに紛れ続ければ、3段階のポリシーは届かない。Amazonが9月にMetaのMuseを遮断した際、理由の1つがまさにこれで、このエージェントは閲覧時に身元を示さなかった。
Cloudflareは今後、プライバシーに配慮した形でのユーザーコンテキストの受け渡し、評判の評価支援、問題発生時の責任の明確化という3つに取り組むとしている。具体的な方式やスケジュールはまだ示されていない。
中国のサイトにとっての意味
Cloudflareの中国語版管理画面を使っているサイトは、今すぐSecurity Settingsでこの設定を確認できる。まずはしばらくデータを見てから動くほうが安全だ。コンテンツサイトなら「広告付きページのみブロック」から試し、ECやツール系サイトでエージェント経由の登録や注文が見られるなら、許可したほうが得になる。
中国のスマートフォン分野でも似た動きがある。ByteDanceは9月に、消費者向けの豆包(Doubao)スマホアシスタントを発表した際、SAEPプロトコルも同時に公開した。サードパーティのアプリが、アシスタントによる画面の自動操作を許可するかどうかを宣言できる仕組みだ。両者は働く層が異なり、一方はネットワークの入口、もう一方は端末の画面だが、発想は通じている。アクセスされる側が、明確なスイッチを持ち始めたということだ。
サイト側にスイッチが増えれば、エージェントのベンダーは新しい状況に直面する。同じアシスタントでも、サイトごとにできることがますます違ってくる。タスクが失敗したとき、ユーザーが誰を責めるのかについては、今のところ答えがない。
参考資料:Cloudflare公式ブログ、CocoLoop。機能の範囲はCloudflareの発表に基づき、豆包とAmazonに関する背景は公開報道による。