Cloudflare、Agent時代のGitを公募

Cloudflareは10月1日、公式ブログでAIエージェント時代向けの次世代Gitホスティングを考案する開発者コンテストを開始した。リポジトリ、ブランチ、プルリクエスト、コードレビュー、マージの衝突処理といった要素をどう再設計するかは参加者に委ねられており、基盤には同社のWorkersと、まだパブリックベータ段階のArtifactsを使う。

今日そのままのGitHubにエージェントを後付けしたようなものは求めていない。最低限、複数のエージェントが同時に変更作業を行っている様子を見たい。

コンテストの規定

提出物は3つ。5〜10分のデモ動画、MIT・Apache・BSDのいずれかのライセンスで公開するソースコード、そして動かし方や試し方を説明したドキュメントだ。締切は2026年10月14日、チームは最大2人まで、優勝者にはCloudflareクレジット2万5000ドルが贈られる。ブログ記事には優勝以外の順位への賞金は書かれておらず、審査員も公表されていない。

参加者に残された時間は2週間しかない。このスケジュールでは、提出されるもののほとんどは試作段階にとどまり、既存のホスティングサービスをそのまま置き換えられる完成品にはなりにくい。

Artifactsとは何か

ArtifactsはCloudflareが4月16日に公開したバージョン管理対応のファイルシステムで、外部にはGitプロトコルとして見える。同社は数百万のリポジトリまで拡張できる設計だとしている。当初はWorkersの有料ユーザーに限定した非公開ベータだったが、現在は公開ベータに移行している。

使い方は3通りある。Workers内でバインディングを通じてリポジトリの作成・フォーク・読み取りやGitトークンの発行を直接行う方法、他の実行環境からREST APIを呼び出す方法、そして任意のGitクライアントから通常のリモートリポジトリとして取得・プッシュする方法だ。リポジトリをWorkers Buildsに接続すれば、プッシュ後の自動デプロイもできる。

4月に発表された課金方式は操作数とストレージに基づく。月間の最初の1万回の操作は無料で、それを超えると1000回あたり0.15ドル。最初の1GBのストレージは無料で、超えた分は1GBあたり月0.5ドルとなる。今回のブログ記事ではさらに3つの新機能が挙げられている。データの保存先を米国かEUから選べるデータレジデンシー、リポジトリの作成・プッシュ・フォークといったイベントを購読できる機能、そして個々のリポジトリの指標を確認できる機能だ。

同じ方向を目指す面々

並べて見ると、ここ2カ月でコードホスティングを作り直そうとしているのはCloudflareだけではない。

8月17日、Cursorは有料ユーザー向けにOriginを投入した。早期アクセス段階のコードホスティングサービスで、プルリクエスト、レビュー、マージをエディタの中に取り込んでいる。そのアプローチはより保守的だ。GitHubの組織に接続すると双方向で同期し、同社によればGitHubは依然として唯一の信頼できる保存先であり、プッシュは従来通りGitHubに反映される。レビュー機能の基盤は、2025年12月に買収したGraphiteだ。

Cloudflareが選んだのは別の道だ。自社で完成品を出すのではなく、ストレージ層と実行環境だけを提供し、「エージェント時代のGitはどうあるべきか」という問いそのものをコンテストの形でコミュニティに委ねている。利点はGitHubと正面から利用者を奪い合わずに済むこと、欠点は2週間のコンテストから長く使われるものが生まれるとは限らないことだ。

GitHub側にとって今年の圧力は主にトラフィックそのものから来ている。当サイトでも以前報じたように、AIが生成するコミット数の急増でGitHubの負荷が高まり、マイクロソフトがAmazonのクラウドから計算リソースを借りる事態になった。リポジトリの数は「一人あたり数個」から「エージェントのタスク1つにつき1個」へと変わりつつあり、Artifactsが掲げる数百万リポジトリ規模は、まさにこの使われ方を想定している。エージェントのタスクごとにフォーク先のリポジトリを立て、作業が終われば元に戻してマージするという流れだ。

複数のエージェントが同じコードを同時に変更する場面で、衝突をどう判定するか、どちらの変更を優先するか、レビューを人間が行うか別のエージェントが行うか——既存のGitワークフローにはまだ決まった答えがない。このコンテストからどんな案が出てくるかは、10月中旬以降に見えてくるだろう。

参考資料:Cloudflare公式ブログ、Cloudflare開発者向け更新ログ、CocoLoop、Cursor公式プロダクト説明。Artifactsの操作・ストレージ課金はCloudflareの価格ドキュメントで確認。