エヌビディア、ロボット向け世界モデル「Cosmos 3」をオープンソース化

エヌビディアは今回、新チップではなくモデルを発表した。しかもオープンソースだ。

「Cosmos 3」は、CEOのジェンスン・フアン氏が「Physical AIのためのオープンなフロンティア基盤モデル」と位置づける。従来の大規模言語モデルがテキスト読み取り、画像認識、動画生成に特化していたのに対し、Cosmos 3はロボットや自動運転車が物理世界で次に何が起こるかを「想像」し、それに基づいて動作を決定することを可能にする。

一つのモデルで「見る」「考える」「動く」を実現

Cosmos 3の核はハイブリッドトランスフォーマーアーキテクチャだ。推論用トランスフォーマーと生成用トランスフォーマーを組み合わせ、前者が物体間の相互作用や動き、時空間関係を理解し、後者がそれに基づいて動画や動作軌跡を生成する。

最大の特徴は、ロボットの関節角度やグリッパーの開き具合、軌道といった「動作データ」を直接出力できる点だ。従来は実環境での手動収集が必要だったが、モデルが合成できるようになった。

エヌビディアによれば、Physical AIのトレーニングと評価サイクルが数カ月から数日に短縮されるという。

3サイズ展開、最小はワークステーションで動作

今回、3つのバージョンが同時にリリースされた。

  • Cosmos 3 Nano(160億パラメータ)— RTX PRO 6000を1枚搭載したワークステーションで動作
  • Cosmos 3 Super(640億パラメータ)— Hopper/Blackwellベースのデータセンター向け
  • Cosmos 3 Edge(未リリース)— エッジでのリアルタイム推論向け

160億パラメータ版は注目に値する。小規模なロボティクスチームでも、クラウドを借りずに自前のワークステーションで実行できる。

ベンチマークでは、エヌビディアは複数のリーダーボードでトップを主張している。世界生成分野のPhysics-IQ、PAI-Bench、R-Bench、動作ポリシー分野のRoboArena、さらに複数の視覚理解ベンチマークでCosmos 3が首位だ。ただし、これらはエヌビディアが選んだベンチマークであり、実際の性能はコミュニティによる検証を待つ必要がある。

「Cosmos Alliance」も発足

オープンソース化に加え、エヌビディアは「Cosmos Alliance」を立ち上げた。創設メンバーにはAgile Robots、Black Forest Labs、Generalist、LTX、Runway、Skild AIが名を連ね、ロボティクス企業と動画生成企業が混在している。

ジェンスン・フアン氏は次のように述べている。「Cosmos 3ファミリーのオープンなフロンティアオムニモデルは、開発者にロボット、自動運転車、ビジョンAIを構築する能力において世代的な飛躍をもたらす」

戦略的な選択が興味深い。Physical AI分野は混雑しているが、ほとんどの企業はモデルをクローズドにしている。エヌビディアは逆に、ベースモデルをオープンソースにし、アライアンスを形成する。特定のロボットの販売ではなく、誰もが自社のモデルとチップを使ってロボットを訓練することを狙う。いわゆる「スコップ売り」戦略の再現だ。

出典:NVIDIA Newsroom、Tech Startups、Axios、CocoLoop