イスラエルのAIスタートアップDecart、3億ドル調達—Karpathy氏やNVIDIAが出資

8倍。イスラエルのAI企業Decartが昨日発表したDOS 2.0は、毎秒1,600トークンを処理し、業界平均の8倍の性能を実現した。同日、同社は3億ドルの資金調達を完了し、評価額は40億ドルに達した。

ラウンドを主導したのはRadical Venturesで、NVIDIAも参加。しかし業界関係者が注目したのは、エンジェル投資家リストにAndrej Karpathy氏(OpenAI共同創業者、元テスラAIディレクター)が名を連ねたことだ。彼が自ら資金を投じて株主になるのは異例だ。

DOS、Lucy、Oasis:彼らが作るもの

Decartは設立1年余りで3つの製品を発表している。

  • DOS:ニューラルネットワークの最適化時間を数カ月から数週間に短縮。複数のチップで動作。
  • Lucy:動画内の物体をリアルタイムで置き換え。バーチャル試着、インテリアデザイン、ロボット用トレーニングデータ生成に活用。
  • Oasis:高度なロボットトレーニング向けの3Dシミュレーション環境を生成。

DOSはすでに収益を生み出している。SiliconAngleによると、DecartはクラウドプロバイダーやAIラボとライセンス契約を結び、相当な収入を得ている。1,600トークン/秒は指標の一つで、DOS 2.0は毎秒100フレームのHD動画も処理可能。ワールドモデルのバックエンドとして機能する。

LucyとOasisは実験的な製品だ。Lucyはシーン内の物体を置き換え、フレーム間の連続性エラーを自動修正。Oasisは3D環境を直接生成する。両製品とも来月新バージョンをリリース予定。

CEOのDean Leitersdorf氏は次のように述べている。

「ワールドモデルは、AIを仮想世界から物理世界へ移行させる鍵だ。」

なぜKarpathy氏が賭けたのか

資金調達自体は珍しくない。今年のAI分野では3億ドルのシリーズDはトップ10にも入らない。しかしDecartの投資家リストは異彩を放つ。

  • Karpathy氏(OpenAI共同創業者)
  • 元ディズニーCEOのMichael Eisner氏
  • 任天堂創業家の一員
  • ゲーム業界のベテランMoritz Baier-Lentz氏
  • 既存投資家のSequoia、Zeev Ventures、Benchmarkもフォローオン

Karpathy氏の参加はシグナルだ。テスラ退社後、彼は「AIの次のフロンティア」と考える企業にのみ投資してきた。Eisner氏と任天堂家は、ゲームとエンターテインメント向けワールドモデルの可能性に賭けている。

Leitersdorf氏はさらにこう語る。

「異なるハードウェア間でモデルを移行するのは非常に困難で、企業はモデル移行のために数億ドルの契約を結んでいる。我々はその壁を打ち壊す存在だ。」

チップ間のモデル移行には年間数十億ドルが費やされている。Decartはその壁を壊す存在と位置づける。これはNVIDIAにとって微妙な関係だ。NVIDIAは出資したが、Decartの核心的価値提案の一つは「モデルがNVIDIAハードウェアにロックされない」ことだからだ。

1年余りで4.5億ドル調達、評価額は8カ月で倍増

昨年8月、Decartの評価額は31億ドルだったが、今回40億ドルに跳ね上がった。8カ月で大幅な増加だ。累計調達額は4.5億ドルを超える。

DOSのライセンス事業はすでに収益の一部を支えている。LucyとOasisは未来への賭けだ。チャットボットから物理世界を理解するエージェントへの移行において、ワールドモデルが必須の中間層になると見ている。

その予想が当たれば、Decartは今、その入り口に立っている。外れれば、3億ドルのシリーズDはKarpathy氏の単なる賭け券に過ぎない。

出典:CocoLoop、Decart raises $300M for its AI optimization software, world models (SiliconANGLE)、Decart Raises $300M: Tech Leaders Back the Company as Both Customers and Investors (Decart AI Publications)