Pinterest、MCPを本番環境で稼働、月間7,000時間を節約

MCPに関する記事は数多く存在するが、その大半はプロトコルの紹介や接続したサーバーの数にとどまっている。

Pinterestのエンジニアリングチームは、実際の本番環境で稼働するMCPアーキテクチャを具体的なデータとともに公開した。詳細が豊富で、一読の価値がある。

アーキテクチャの選択:複数の専用サーバー、統合型は採用せず

Pinterestはすべてを処理する単一の巨大なMCPサーバーを構築しなかった。彼らのアプローチは、各コアデータシステムに独立したMCPサーバーを対応させるというものだ。

現在本番環境で稼働中のサーバー:

  • Prestoサーバー:データクエリ
  • Sparkサーバー:ジョブデバッグとログ分析
  • Airflowサーバー:ワークフロー管理
  • Knowledgeサーバー:内部ドキュメントとナレッジベース

なぜ統合サーバーにしなかったのか。

その理由は、複数のサーバーによって独立したアクセス制御が可能になり、各チームが対応するツールドメインにのみアクセスできるようになるため、単一サーバーでの過剰な権限を防げるからだ。同時に、各サーバーのツールセットは簡潔に保たれ、モデルが無関係なツールの山で混乱するのを防ぐ。

レジストリ:エージェントが利用可能なものを把握

Pinterestは、承認済みサーバーの信頼できる情報源として中央レジストリを構築した。

AIクライアントはツールを呼び出す前に、レジストリに問い合わせる。このサーバーは存在するか?使用する権限があるか?

これにより現実的な問題が解決される。すべてのデータツールを全従業員に開放すべきではないということだ。例えばPresto(大規模データクエリ)は、特定のビジネスグループのメンバーのみがAIツールを通じてアクセスできる。

セキュリティ設計の詳細

二層の認証:

  1. ユーザーJWTトークン:誰が操作しているかを検証(ヒューマン・イン・ザ・ループシナリオ)
  2. サービスメッシュID:サービス間の呼び出しにはメッシュIDを使用

彼らはMCP標準のOAuthフローを採用せず、既存の内部認証システムと統合する道を選んだ。その理由は、各サーバーに個別の認可を要求する際の摩擦を減らすためだ。

さらに、エリシテーションと呼ばれる設計もある。高リスクまたは高コストの操作を実行する前に、エージェントは人間のユーザーに確認を求めなければならず、承認がなければ実行されない。これは自動化とセキュリティのバランスを取るものだ。

本番環境の数字

2025年1月時点のデータ:

指標数値
月間呼び出し回数66,000回
アクティブユーザー数844人
月間推定節約時間約7,000エンジニア時間

月間7,000時間——エンジニア1人あたりの月間稼働時間を約160時間とすると、約44人分の作業量に相当する。これは各ツール呼び出しあたりの推定節約時間を合計したものであり、正確な数値ではないが、規模感を示す参考値となる。

注目すべき点

Pinterestの記事にはこうある。このシステムはエンジニアが日常的に使うIDE、社内チャットプラットフォーム、そしてAIワークフローに統合されている——エンジニアがわざわざ使うための独立したAIポータルではない、と。

これこそがエンタープライズAI導入の成否を分ける鍵だ。ツールは作業者がいる場所に現れるべきであり、作業者に別の場所へ行くことを求めるべきではない。

出典:Pinterest Deploys Production-Scale Model Context Protocol Ecosystem for AI Agent Workflows(InfoQ);CocoLoop、Building an MCP Ecosystem at Pinterest(Pinterest Engineering Blog / Medium)