StepFun(階躍星辰)は10月15日、フラッグシップモデル「Step 5 Preview」の重みをHugging Faceで公開した。9月20日の発表時に約束していた「10月15日に正式オープンソース化」を実行した形だ。リポジトリには現在、FP8とBF16の2系統の主要な重みがあり、10月14日に新設されたNVFP4のリポジトリも加わる。3つのリポジトリはいずれも15日午前中に更新された。
モデルカードの記載内容
Step 5 Previewはスパースな混合エキスパート(MoE)構成で、総パラメータ数は約6000億(重みファイルのメタデータでは604B)、1トークンあたりのアクティブパラメータは約270億。コンテキストウィンドウは最大100万トークンで、最大出力も100万トークンと記載されている。入力はテキストと画像、出力はテキストに対応する。モデルカードでの位置づけは次の一文のみだ。
"Step 5 Preview is StepFun's flagship model for agentic work."
(Step 5 Previewは、StepFunのエージェント業務向けフラッグシップモデルである。)
ライセンスはStepFun独自の「StepFun Model License 1.0」。公式には「Apache-2.0風」とされるが、表示義務と商用利用の許諾条件が加わっている。どの規模の商用利用から個別申請が必要になるかは、モデルカードの要約には書かれておらず、ライセンス全文の確認が必要だ。
ベンチマーク結果はモデルカード内でグラフとしてのみ示され、コーディング、エージェントタスク、専門知識業務、金融の各分野を網羅するが、本文に項目ごとの数値はない。モデルカードによると、成績は推論レベル「High」で測定されたもので、GDPval-AAの項目はArtificial Analysisの9月20日時点のデータを引用している。第三者の評価では、Artificial Analysisの総合インテリジェンス指数が44点で、オープンモデルの中で上位3位に入る。
中国国内のチームにとっての意味
今回の公開で最も実用的な情報は、モデルカードにある導入構成表だ。
| フレームワーク | 精度 | ハードウェア |
|---|---|---|
| vLLM / SGLang | FP8 | B300サーバー1台(4基)またはH200サーバー1台(8基) |
| vLLM | BF16 | B300サーバー1台(8基)またはH200サーバー2台(16基) |
| Transformers(オフライン) | FP8 | H200サーバー1台(8基) |
中国企業にとって、B300はほぼ入手できず、H200の対中供給も今年は紆余曲折があった。現実的な選択肢は、おそらくH200 8基でFP8を動かす構成だろう。モデルカードの導入表に載っているのはNVIDIAのH200とB300だけで、国産アクセラレーターが対応できるのか、性能がどれだけ落ちるのかについて、StepFunは公式の方針をまだ示していない。
モデルカードは、つまずきやすい点を2つ挙げている。1つは、100万トークンの長いリクエストは、上表の構成でもKVキャッシュが収まらない場合があること。もう1つは、FP8の重みに--dtype bfloat16を付けても量子化された重みがBF16に戻るわけではなく、BF16で動かすにはBF16版の重みを別途ダウンロードする必要があることだ。TransformersでのBF16分割シャードの読み込み手順は、公式に「完全には検証されていない」と記されている。
概算すると、FP8でも6000億パラメータの重みだけで約600GBが必要になる。141GBのH200が8基あれば合計約1.1TBのメモリで、残りがKVキャッシュに回る。自社のデータセンターで完全版を動かしたいチームにとって、最低ラインはこのクラスのサーバー1台ということになる。
発表から公開までの25日間
9月20日の発表時、StepFunが前面に出したのはコストだった。同社は、Step 5 Previewの1タスクあたりのコストはClaude Opus 5の約8分の1だとしている。その後はまず自社製品とAPIで提供され、10月上旬にはOpenRouterのTrendingランキングで世界1位に躍り出た。
重みが公開されたことで、評価の軸は「APIが使いやすいか」から「自前で動かして採算が合うか」に移る。GGUFなど低ビット版がコミュニティからすぐ出て、1台のマシンや小規模クラスターでも動くようになるかどうかが、今回の公開が中小チームにどこまで届くかを左右する。StepFunは同時に技術ブログも公開した。学習データの規模や強化学習のレシピといった詳細がどこまで開示されているかは、コミュニティが一つずつ照合するのを待つことになる。
参考資料: StepFun Hugging Faceモデルカード、CocoLoop、科創板日報、愛範児(Ifanr)。パラメータ規模、導入ハードウェア、ライセンス条項はモデルカードに基づき、インテリジェンス指数のスコアはArtificial Analysisの基準に基づく。