小米(Xiaomi)のMiMoチームは9月22日、MiMo-V2.6シリーズを発表しオープンソース化した。フラッグシップのMiMo-V2.6-Proと、効率重視のMiMo-V2.6-Flashが同時に公開され、Web版、API、Hugging Faceでの重みの公開も一斉に始まった。両モデルはネイティブなオムニモーダルで、テキスト、画像、動画、音声をそのままモデルに入力できる。公式が主戦場として挙げるのは、コーディング、コンピュータ操作、3Dシーン、音声・映像コンテンツ制作といったエージェント系タスクだ。
同日、小米は高スループット版のPro-UltraSpeedも公開した。同等の品質で出力速度を最大20倍まで引き上げられるとしており、この段階は順次公開が進められている。デスクトップクライアントのMiMo Desktopは正式版に移行し、サブスクリプションが導入された。
スコアと立ち位置
第三者評価機関のArtificial Analysisは、MiMo-V2.6-Proの総合知能指数を46点と評価し、オープンウェイトモデルの中で首位、Kimi K3やQwen3.8 Maxを上回った。メディアが引用したランキングによると、このスコアはClaude Opus 5やGPT-5.6 Solと同じ帯域に位置し、Claude Fable 5.1やGPT-6 Astraとはまだ差がある。
価格は据え置きで、V2.5シリーズのAPI価格をそのまま引き継ぐ。Artificial Analysisが計測した1タスクあたりのコストは0.13ドル。小米自身の説明では、同等の知能水準であればProの価格は海外モデルの20分の1から60分の1にとどまるという。ただしこの倍率は同社側の主張であり、どのモデルとどのタスクで比較したかは公開資料では明らかにされていない。
4月世代と並べてみる
MiMo-V2.5-Proは今年4月末にオープンソース化されたモデルで、総パラメータ1.02兆、活性化パラメータ420億のMoE構成、コンテキスト長は100万トークンだった。当時小米が打ち出していたのはトークン効率で、ClawEvalでDeepSeek-V4-Proと比較していた。7月には、V2.5はOpenRouterで月間・週間の呼び出し数ともに首位を獲得したが、これは主に価格によるものだった。
V2.6-Proが公開したパラメータ規模は依然として総パラメータ1.02兆、活性化420億で、前世代と同水準だ。変化はポストトレーニングに集中している。責任者の羅福莉氏は今回の取り組みを「これまでのオープンソースモデルチームが行った中で最大級の単発強化学習トレーニングの一つ」と表現し、プロジェクトの研究・エンジニアリング上の難易度は自身が携わったDeepSeek-R1を上回ると述べた。
メディアが開示した学習の内訳によると、ProとFlashはそれぞれ30ステップを実行し、合計で約75万件の軌跡を積み上げ、総コストは約350万ドル、期間は6日間だった。数億ドル規模になることも珍しくない事前学習と比べれば大きな金額ではないが、単発のポストトレーニングとしてはオープンソースチームの中でも珍しい規模だ。
4月から9月までの流れを並べると、小米の方針は比較的はっきりしている。まずベースモデルの規模を固定し、価格で開発者側の呼び出し数を獲得し、その後資金と計算資源を強化学習に投じてスコアを押し上げる、という順序だ。スコアを伸ばす段階はうまくいった。次に問われるのは、値下げをせずに呼び出し数を維持できるかどうかだ。
学習手法と同時に公開されたもの
羅福莉氏によると、チームはMixRLと呼ばれる手法を用い、中程度の難易度で結果を検証できるコーディングタスクとエージェントタスクを合同で学習させたという。ゲームや3D、主観評価のような検証が難しい、あるいは非常に長いタスクは個別に学習させ、最後にMOPDで各能力を統合した。
今回公開された範囲は重みだけにとどまらない。小米はMiMoの学習軌跡から蒸留したQwenモデル、多様な学習環境約7000種類、そして強化学習フレームワーク一式も公開した。再現や自社モデルでのポストトレーニングを目指すチームにとっては、重みそのものより環境とフレームワークの価値の方が大きいかもしれない。
羅福莉氏は個人アカウントでも、MiMo-V2.6は「すでにオープンソースモデルの首位」だと述べた。この主張は現時点でArtificial Analysisの総合指数にのみ裏付けられており、各分野別ランキングはまだ出そろっていない。コード、画像、音声といった項目でどの順位になるかは、どのランキングを参照するかによって結論が変わる可能性がある。小米はまた、V2.6のオープンソースライセンスが前世代の条件を引き継ぐかどうかについても明らかにしていない。
参考資料:小米MiMo公式発表ページ、Artificial Analysis知能指数ランキング、CocoLoop、Sohu Tech。知能指数のスコアと1タスクあたりのコストはArtificial Analysisの数値で確認しており、学習コストとステップ数はメディア開示の数値に基づく。