xAIは4月17日にGrok 4.3 Betaをリリースしたが、タイミングは微妙だった。同日にAnthropicがClaude Opus 4.7を発表したため、2つのニュースが重なり、Grok 4.3の話題はどうしても分散してしまった。
それでも、4.3アップデートには注目すべき点がいくつかある。
今回のアップデート内容
動画入力に対応
Grok 4.20は画像しか処理できなかったが、4.3ではネイティブ動画分析が追加された。動画クリップを直接共有し、Grokに内容を読み取らせて質問に答えさせることができる。
ドキュメント直接生成
チャット画面から直接生成可能:
- フォーマット済みPDF
- 完全入力済みExcelスプレッドシート
- PowerPointスライド
頻繁にレポートをまとめる必要があるユーザーにとって、実用性の高い機能だ。
開発者向け音声API:価格設定が際立つ
同時に公開されたSTT(音声認識)とTTS(音声合成)のAPIは、主要な競合より大幅に低い価格設定となっている:
| サービス | Grok 4.3 | OpenAI | ElevenLabs |
|---|---|---|---|
| TTS(100万文字あたり) | 4.20ドル | 30ドル以上 | 30ドル以上 |
| STT(ストリーミング、1時間あたり) | 0.20ドル | 0.36ドル | - |
競合より86~92%安く、その差は大きい。
STTは25以上の言語に対応し、話者分離と単語レベルのタイムスタンプを提供。TTSは5種類の音声、20以上の言語に対応し、[laugh]、[sigh]、[whisper]などの感情タグもサポートする。
継承された中核的強み
4.20から引き継がれた2つの主要機能:
- 200万トークンのコンテキストウィンドウ:西洋のクローズドソースモデルの中で最大
- 16エージェントHeavy並列システム:複雑なマルチステップタスクで16のサブエージェントを同時実行可能
パラメータ数は約0.5Tで、1T規模のモデルのトレーニングは完了したと報告されているが、まだ完全にはデプロイされていない。
月額300ドルでメモリなし:最大の欠点
Grok 4.3 BetaはSuperGrok Heavyサブスクライバーのみが利用可能で、月額300ドルだ。
しかし現時点では、Grokには会話メモリ機能がない。セッションのたびに、自分の背景や好み、作業コンテキストを再紹介する必要がある。月額20ドルのツールなら理解できるが、300ドルという価格では説明が難しい:
- Claude Max 月額200ドル → Projectメモリあり
- ChatGPT Pro 月額200ドル → メモリ機能あり
- Grok Heavy 月額300ドル → メモリなし
xAIもこのギャップが課題だと認識していると思われるが、今回のアップデートでは解決されなかった。
誰と、何で競合するのか
Grok 4.3の方向性はマルチモーダル生成と開発者ツール:動画理解、ドキュメント生成、安価な音声API。
Claude Opus 4.7の方向性は深い推論とエージェントタスク:より強力なマルチステップ実行、より信頼性の高いエージェントパフォーマンス。
両製品のポジショニングは異なり、完全に直接競合する関係ではない。
音声製品の開発者にとって、Grok 4.3のTTS/STT価格優位性は明らかだ。多用途な日常AIアシスタントを求める個人ユーザーにとっては、月額300ドルでメモリがないことが、購入をためらう主な理由になるかもしれない。
完全版のリリースは5月中下旬の見込み。
出典:Grok 4.3 Review: What's New in xAI's Latest Model (April 2026)(TechSifted);CocoLoop、xAI rolls out Grok 4.3 beta for SuperGrok Heavy subscribers(PiunikaWeb)