NVIDIAは今週、Hugging Face上で発表を行い、Nemotron 3系列モデルが今年の国際情報オリンピック(IOI 2026)と国際数学オリンピック(IMO 2026)で記録した成績を公表した。両方とも金メダル基準を突破している。過去1年にクローズドモデル各社が出してきた同種の成績と比べて今回異なるのは、モデル本体、学習データ、推論フローのすべてが公開された点だ。
2つの大会はどう実施されたか
情報オリンピックに出場したのはNemotron-3-Ultra-CCで、総パラメータ数5500億、トークンごとの有効パラメータ550億のモデルだ。教師あり微調整(SFT)を行い、さらにGenCorrectと呼ばれる誤り訂正フローを重ねて、最終スコア535.4点(満点600点)を記録した。金メダル基準は361.12点。NVIDIAはこれを「前倒し」の実測だと強調している。大会期間中にリアルタイムで実行し、制限時間やネット接続、提出回数の条件は人間の参加者と同じにした。このスコアは非公式記録であり、大会進行中に人の手は介入していない。
学習データについては、情報オリンピック用モデルは整理済みの問題約2万2000問と合成推論過程を使っている。小型版のNemotron-3-Nano-CC(総パラメータ数300億、有効パラメータ30億)はSFTと強化学習を組み合わせ、昨年のIOI 2025の問題セットで468点を記録した。今年の大会での成績はブログ記事内で明らかにされていない。
数学オリンピックのスコアは42点満点中30点で、金メダル基準の29点を超え、6問中4問が満点だった。採点はIMO公式採点者が行い、全過程を通じて形式的証明器や外部ツールは使わず、ネット接続もなく、自然言語のみで解答した。システムはNemotron 3 Ultraの汎用版、SFT版、強化学習版という複数のチェックポイントで構成され、「生成-検証-修正」のループを繰り返して証明を書き直す。学習には1万5818問と、品質で絞り込んだ41万4890件の証明サンプルを使った。
1年前との比較
2025年7月、Google DeepMindのGemini Deep ThinkとOpenAIの実験的推論モデルは、いずれもIMOで35点を獲得し、その年の金メダル基準を突破した。この2件はいずれも非公開のモデルで、外部からは結果しか見えなかった。
今回のNVIDIAのスコアは、昨年のその2社よりも5点低く、ぎりぎりで基準を超えた形だ。一方で公開された内容は多い。Nemotron-3-Ultra-CCの重みはすでにHugging Face上に公開されており、学習データセットはNemotron LabsのIMO 2026コレクションに収められ、推論パイプラインは再現可能なクイックスタート手順付きでNeMo-Skillsリポジトリに置かれている。さらに200問からなる証明ベンチマークNemotron-IMO-Benchも公開された。
ブログ記事では推論時のサンプリング回数や計算予算は明らかにされておらず、OpenAI、Google、DeepSeekのモデルとの直接比較も行われていない。生成-検証-修正というフローは通常、推論の計算負荷が大きく、1問あたり何ラウンド実行し、どれだけのGPU時間を使うのかは、誰かがリポジトリを再現するまで外部には分からない。
中国国内のモデルチームにとっては、品質で絞り込んだ40万件を超える証明データは、すぐにダウンロードできる素材であり、重み本体よりも直接活用しやすい。5500億パラメータのUltra版をローカルで運用するハードルは高く、多くのチームはデータセットとベンチマークから着手する可能性が高い。
参考資料:NVIDIAのHugging Face技術ブログ記事、NeMo-Skillsコードリポジトリ、CocoLoop、Google DeepMindとOpenAIによる過去のIMO成績発表。ブログ記事をもとに両大会のスコア、金メダル基準、パラメータ数、学習データ規模を確認した。