Meta、Muse Wonder公開 API出力価格は約5倍に

Metaは10月12日、Muse WonderとMuse Wonder Fullの2モデルを発表した。個人・業務向けのエージェントタスクを想定したモデルだ。クローズド路線に転じたMuse Sparkに続く2度目の大型更新で、Spark 1.3から約6週間ぶりとなる。

Metaは研究ブログで、今世代はギガワット級のデータセンター「Prometheus」で学習したと説明している。同社がAI組織の再編に着手してから14カ月が経過した。両モデルともコンテキストウィンドウは100万トークンで、入力はテキスト、画像、動画、音声に対応し、出力はテキストのみとなる。

新機能

ブログが重点的に取り上げたのは2つの機能だ。Active Memoryは、ユーザーにとって重要な背景情報を会話をまたいで記憶し、関連するタスクで呼び出す。Active Focusは、難しい目標に向けて粘り強く作業を進め、行き詰まれば別のアプローチに切り替え、必要に応じてユーザーに確認を求め、重要な操作の前には承認を取る。

もう一つの柱はコーディングだ。Metaによれば、新モデルは小さなアプリから複雑なソフトウェアプロジェクトまで対応でき、長期にわたるタスクでも進捗を維持できるという。引用されたベンチマークは、長期ソフトウェアプロジェクト向けのSWE-Marathon、自社のFocusBench、法律テック企業Harveyの法務エージェント向けベンチマークLABなどだ。安全性については、化学・生物・放射性物質・核、およびサイバー悪用への防御としては過去最強のモデルだとしているが、詳細な安全性評価レポートは未公開で、ブログには「近日公開」とあるのみだ。

提供チャネルと価格

Muse Wonderは、Meta自身のModel APIとコーディングツールMuse Codeで利用できる。Muse Wonder Fullは現時点ではMuse Codeの契約者のみが対象で、APIでは提供されない。一般ユーザー向けのMuseアプリへの搭載は「近く」行われるとされ、契約者が優先されるが、時期は示されていない。

第三者評価機関のArtificial Analysisが掲載するAPI価格は、100万トークンあたり入力4ドル、キャッシュ入力0.2ドル、出力20ドル。Spark 1.3は当時1.25ドル、0.15ドル、4.25ドルで、出力価格は約4.7倍に上がった。

競合との比較

Artificial Analysisは10月12日の実測で、2つの新モデルを最高の推論設定で評価した。総合知能指数v4.3では、Wonder Fullが56点、Wonderが52点、Spark 1.3が48点。Full版は10項目すべてのサブテストで前世代を上回った。上位に入った主な結果は次のとおり。

テストWonder Full順位または比較対象
CritPt33%1位
GDPval-AA v2.11857 Elo2位。Opus 5.5は1866
Terminal-Bench 4.057%前世代は33%。Gemini 4 Argonと同率
コーディングエージェント指数68Claude Code(Sonnet 5.5)と同スコア

弱点は知識系のテストだ。AA-OmniscienceではWonder Fullが30点で、Claude Opus 5.5は46点、GPT-6 Astraは43点だった。一方、ハルシネーション率は33%から23%に下がった。

価格と使用量を合わせて見ると、Artificial Analysisの測定では、Muse Wonderが総合指数を1回走らせる際のタスクあたりコストは約4.52ドルで、Spark 1.3の2.8倍。Opus 5.5の5.98ドル、Sonnet 5.5の5.46ドルは下回り、GPT-6 Astraの3.26ドルは上回る。出力トークンは前世代より1割少ないが、入力トークンは28%多く、1問あたり平均769万トークンに達する。これはGemini 4 ArgonやGPT-6.1 Solなどの2〜7倍で、コストの4分の3はコンテキストの読み込みに費やされている。

MetaはSparkシリーズで低価格路線を取り、先に報じたとおり有料モデルで価格競争を仕掛けてきた。今世代では単価がAnthropicの中上位モデルと同じ水準まで引き上げられ、コーディングエージェントのスコアも同じ水準に並んだ。Museアプリのサブスクリプション価格については、CNBCの報道によると個人向けプランは引き続き月額20ドルから。Muse Codeの料金プランが新モデルに合わせて変わるかどうかは、Metaのブログでは触れられていない。

外部テストも控えている。大規模モデルの対戦プラットフォームArenaは、Muse WonderシリーズをAgent Arenaに追加し、ユーザーによる実測を受け付けている。順位スコアはまだ公表されていない。

参考資料:Meta研究ブログ、Artificial Analysis評価レポート、CocoLoop、CNBC、Arena。Artificial Analysisが各ベンチマークスコア、API単価、タスクあたりコストを、Metaのブログが提供範囲と機能説明を裏付けている。