ARC Prizeは10月9日、2026年シーズンのARC-AGI-2ハイスコア一覧を公表し、TUFA Labsが88.06%で1位となった。2位から5位は、Rabbithole(80.56%)、Yi-Chia Chen(77.22%)、Nubanana(77.08%)、_hans(67.64%)の順。ARC Prize共同創設者のFrançois Chollet氏も同日、KaggleでのARC-AGI-2のスコアが88.06%に達したと公に言及している。
首位は2位を約7.5ポイント上回っており、上位5チームのうち85%を超えたのはTUFA Labsだけだ。
85%というライン
ARC-AGI-2は、Chollet氏らが設計した抽象推論テストである。各問題では色付きグリッドの入出力例がいくつか示され、参加システムはそこからルールを導き出し、新しい入力に対して正しいグリッドを描かなければならない。テスト入力ごとに回答を2つ提出でき、どちらか一方が完全に一致すれば1点になる。暗記した知識で解ける問題は意図的に避けられている。
大会はKaggle上で開催され、評価環境はネットワークに接続されず、計算資源にも上限がある。2026年シーズンのルールページによると、賞金総額は70万ドルだ。
- プログレス賞は27万5000ドルで、上位8位に分配され、1位は7万5000ドル。
- グランプリは27万5000ドルで、最も評価の高い手法の解説に贈られる。
- このほか15万ドルの賞金があり、非公開評価セットで85%に到達することが条件。
入賞した手法はすべてオープンソース化が必須で、公開しない場合は大会から除外される。
ここは切り分けて見る必要がある。ARC Prizeは今回の投稿で、15万ドルは85%を超えたすべてのチームで分け合うとしているが、ルールページには非公開セットで基準を満たした「最初の」適格な手法に授与すると書かれている。どちらが優先されるのかについて、主催者から追加の説明はまだない。
また、Kaggleの公開リーダーボードが採点に使うのはテスト問題のおよそ半分で、最終順位は残りの半分で決まる。88.06%は途中経過の成績であり、TUFA Labsが非公開セットでも85%を維持できるかどうかは、シーズンの集計を待つしかない。
2つのシーズンを並べてみる
ARC Prize 2025年シーズンもARC-AGI-2が題材だった。この年は1455チームが延べ15154回提出し、優勝したNVARCは非公開セットで24.03%、1問あたりのコストは約0.20ドルだった。2位のthe ARChitectsは16.53%で、グランプリの受賞者は出なかった。NVARCはNVIDIAの2人のKaggleグランドマスターによるチームで、手法は合成データとテスト時学習、小型モデルの組み合わせであり、大型モデルを力任せに回したわけではない。
さらに遡ると、2024年シーズンは初代のARC-AGIが使われ、優勝スコアは50%台前半だった。2025年に登場したARC-AGI-2は意図的に難度を引き上げており、当時の主要なフロンティアモデルの得点は軒並み一桁台にとどまっていた。
つまり、Kaggleトラックの最高成績は1年で24%から88%へ伸びたことになる。ただし2つの数字は集計方法が違う。前者は非公開セットの最終順位、後者は公開リーダーボードの途中成績であり、単純に引き算すると伸びを過大に見積もってしまう。それでも、桁感の変化が大きいことに変わりはない。
TUFA Labsがどのような手法を使ったのかは、現時点で公表されていない。成績の裏にある計算コストや1問あたりのコストも明らかにされていない。ルール上、入賞した手法はオープンソース化して解説を提出する必要があるため、詳細が見えるのは早くてもシーズン終了後になる。
問題にはどれだけ余地が残っているか
主催者が2025年にARC-AGI-2を公開した際に示した人間のベースラインでは、テスト参加者の平均正答率は約60%で、どの問題も少なくとも2人が正解していた。この基準に照らせば、公開リーダーボードの88%はすでに人間のテスト参加者の平均を上回っている。
ARC Prizeはここ2年、重心をインタラクティブ型のARC-AGI-3へ移しつつある。この世代の問題は、試行錯誤しながら学習する必要がある小さなゲームに変わった。今シーズン、非公開セットでARC-AGI-2の85%超えが確認された場合、この静的なグリッド問題が賞金付きの課題としての役割を終える可能性が高い。主催者が次にどうするかは、まだ発表されていない。
参考資料:ARC Prize公式アカウント、ARC Prize 2026ルールページ、CocoLoop、ARC Prize 2025年シーズンの結果分析。上位5チームのスコア、賞金の内訳、2025年シーズン優勝スコアの集計基準を確認した。