OpenAIは10月9日、Codexデスクトップアプリで試験機能「Composer predictions」の提供を始めた。Codexが1ターン分の返答を終えると、入力欄に次のメッセージの予測が1文表示される。ユーザーがTabキーを押せばそれが入力欄に入り、編集するか送信するかは本人が決める。
これは、Codex責任者のThibault Sottiaux氏が掲げた「28日間、毎日1つ更新する」という約束の5日目にあたる。同氏はSNSで、予測の精度は「Often leads to a double take」、つまり思わず二度見してしまうほどだと述べている。
誰が、どう使えるのか
OpenAIのヘルプセンターと開発者コミュニティの告知によると、現時点での提供範囲は次のとおり。
- 対象ユーザー:18歳以上の個人向けChatGPT Proユーザー。提供済みの全地域が対象で、試験期間中はそれ以外のプランには原則開放されない。
- 利用場所:CodexデスクトップアプリのローカルスレッドとSSHスレッド。モデルはGPT-6 AstraまたはGPT-6.1 Sol。Web版やデスクトップ版のChatでは使えない。
- 操作:Tabを押すと文字が入力欄に入るだけで、自動送信はされない。告知の表現は「Accepting a prediction does not send it automatically.」。また、返答のたびに提案が出るわけではない。
- 設定:対象ユーザーでは既定でオン。オフにするには、設定 → General → Composer → Show predictions を選ぶ。
課金面では、試験期間中の予測生成には追加料金がかからず、Codexの使用量上限やクレジットにも計上されない。予測を採用して送信したメッセージは、通常どおり使用量に含まれる。
データの扱いについて、OpenAIは予測に使うのは現在のスレッドにすでにあるコンテキストだけだと明記している。メモリを別途検索することも、接続済みアプリの情報を読むこともない。どのProアカウントが「対象」に当たるのか、どのモデルが予測を生成するのかについては、公式の説明はない。
同じTabでも、補うものが違う
AIコーディングツールでは、Tabキーはずっと前から埋まっている。CursorのTab補完も、GitHub Copilotの次の編集提案も、予測するのはコードだ。カーソルの後ろに何を書くか、次にどこを直すか。ユーザーがエディタで1行ずつ書き、ツールが横で1行ずつ先を読む。
Codexは使いどころを変えた。主戦場はもともとチャット欄で、ユーザーが指示を出し、エージェントがリポジトリを書き換えてテストを走らせ、結果を報告に戻ってくる。そのターンの後でユーザーが言いそうなのは、「テストを回して」「これも直して」「コミットして」といった短い一言が多い。そうした言葉を先回りして出せば、省けるのはコードを打つ時間ではなく、ユーザーとエージェントのやり取りの往復だ。
この設計は、境界の問題も生む。コード補完が外れても、エディタ上なら一目で気づく。対話の予測が外れた場合、「続けて」や「マージして」を何気なく送ってしまうと、その影響はエージェントの次の操作に及ぶ。OpenAIはヘルプページで、提案が意図に合うとは限らないとして、送信前に確認するよう求めている。Tabで自動送信しない仕様も同じ配慮によるものだ。
28日間のうち5日目
10月4日から、Sottiaux氏はチームに一つの決まりを課した。28日間、毎日、CodexとChatGPT Workの大半のユーザーにとって明確な改善となる更新を出すか、全員に対する使用量の完全リセットを行うか、のどちらかだ。5日目にチームが出した今回の施策は個人Proユーザーだけが対象で、約束にある「大半のユーザーに関係する」という基準とはあまり合わない。コミュニティでは、これを指摘する声はまだ出ていない。
この試験がPlusや法人向けプランに広がるのか、試験終了後に予測が使用量に計上されるようになるのかについて、告知には記載がない。
参考資料:OpenAIヘルプセンター、CocoLoop、OpenAI開発者コミュニティの告知、Thibault Sottiaux氏のSNS投稿。対象プラン、モデル名、オフにする手順、課金ルールはOpenAIヘルプセンターとコミュニティ告知の記載に基づく。